光超音波マンモグラフィにおける乳がん診断基準の整備と高機能化のための広帯域PATプローブの開発

文献情報

文献番号
200917019A
報告書区分
総括
研究課題名
光超音波マンモグラフィにおける乳がん診断基準の整備と高機能化のための広帯域PATプローブの開発
課題番号
H21-トランス・一般-010
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
戸井 雅和(京都大学 大学院医学研究科外科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 椎名 毅(京都大学 大学院医学研究科人間健康学系専攻・生体医工学)
  • 富樫 かおり(京都大学 大学院医学研究科)
  • 佐藤 亨(京都大学 大学院情報学研究科)
  • 浅尾 恭史(キヤノン株式会社 総合R&D本部医用イメージング開発部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(基礎研究成果の臨床応用推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
48,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、文部科学省「先端融合イノベーション事業」(京都大学-キヤノン協働研究プロジェクト)の1つとして取り組んでいる「光超音波マンモグラフィ」(以下PAM)の臨床現場への適用を迅速かつ効率的に進める上で必要な、広帯域PATプローブの開発と活用を進めるものである。PAMは、被曝の心配がなく、また乳腺密度の高い若年層の乳がん診断に適する超音波像との同時計測も可能なため、高齢者だけでなく30~40歳代の若年層の、乳がん診断の飛躍的な精度向上が期待できる。PAMの臨床応用を迅速かつ適切に行うために、各病態と光音響像との関係を明らかにして診断基準を整備するとともに、新規診断情報を提供しうる画期的な医療機器としての有効性を明らかにすることを本研究の目的とする。
研究方法
本研究では浅在性の腫瘍を対象とし、新生血管など100μm以下の微細血管の構造を詳細に捉え、さらにマルチスペクトルの光超音波像を計測できる、広帯域PAT (Photo Acoustic Tomography)プローブを開発する。この広帯域PATプローブにより、詳細な病態とPAMで得られる光超音波像との関係を明らかにすることを計画している。これによりPAMの診断基準の構築と、高機能化に向けて探索的な臨床研究を進め、その早期実用化を図る。
結果と考察
1.広帯域PATプローブの候補技術として2つの方式に絞り込み、プローブ設計および製作を開始した。
2.マルチスペクトル計測の準備として、マウス血液を用いてヘモグロビンの酸化/還元手法を構築した。次いで、これら酸化血および還元血の吸収係数および散乱係数の波長依存性を測定した。また光音響測定系のリニアリティーを検証した上で、光音響信号強度から酸素飽和度を求める手法を確立し画像化を行ったところ、他の手法にて測定した血液の酸素飽和度の数値を概ね反映した結果が得られた。これらの結果は本研究の目的を達成させる上で有用と考えられる。
結論
本研究テーマはスタートしたばかりであり、画期的な成果はまだ実現できていない。平成21年度はこの研究を推進するためのインフラを構築したことが成果といえる。今後、課題の解決に向けて研究を効率的に推進し、高精細なPATプローブ技術を開発する計画である。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-12-16
更新日
-