安全な血液製剤の安定供給に資する適切な採血事業体制の構築のための研究

文献情報

文献番号
202125004A
報告書区分
総括
研究課題名
安全な血液製剤の安定供給に資する適切な採血事業体制の構築のための研究
課題番号
19KC2002
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
浜口 功(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 岡田 義昭(埼玉医科大学 医学部)
  • 山口 照英(金沢工業大学 加齢医工学先端技術研究所)
  • 田野崎 隆二(慶應義塾大学医学部 輸血・細胞療法センター)
  • 大隈 和(関西医科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
4,410,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
血液製剤は、人体より採取された血液を原料として製造されている。少子高齢化により献血可能人口の減少しており、また、輸血用血液製剤の供給実績は減少傾向にある。有限である血液製剤の安定供給、安全性の向上、献血者の保護を行う必要がある。2021年度はSARS-CoV-2感染者の急増に伴い、献血者の保護と血液の安定供給をはかるための採血基準の作成及びSARS-CoV-2の採血事業への影響を評価し、対応を検討する。また、遡及調査ガイドラインの見直しに関する検討を行う。
研究方法
SARS-CoV-2感染拡大に伴い、新しいモダリティのワクチン接種が行われている。ワクチン接種者の献血制限について、現状の考え方について研究班で知見をまとめた。海外からの研究報告、ガイドライン等を参考に、国内での対応の可能性を多角的に検討し、研究班で考え方をまとめた。このための班会議を8回(2021年4月7日、4月19日、10月25日、12月6日、12月21日、2月7日)開催した。また、新型コロナウイルス既感染者の採血基準等について6月23日、7月7日の班会議で検討した。さらに、血液製剤等に係る遡及調査ガイドラインの改訂について、現状に対応するための見直しのための検討のために3回の班会議(2021年8月11日、8月23日、9月8日)で案を検討した。なお、研究班会議でまとめた案および考え方は厚生労働省血液事業部会安全技術調査会に報告した。
結果と考察
新型コロナmRNAワクチン接種者の献血制限について,①インフルエンザワクチン等の既存の不活化ワクチン等と比較して、副反応の頻度が高いこと。②mRNAワクチンの副反応の90%以上は、接種後2日までに認められており、接種後1日以降に発現する症例も認められること。③mRNAワクチンは、本邦において承認されているいずれのワクチンとも異なる新しい種類のワクチンであること。①〜③より mRNAワクチン接種者の採血制限は接種後48時間とする。また、新型コロナウイルスベクターワクチン接種者の献血制限について,① 本邦ではウイルスべクターワクチンの接種対象を40歳以上に絞っていることから、TTS/VITTの発生頻度は海外よりも更に低いことが想定されるものの、令和4年1月2日時点(初回接種約58,120人、2回目接種57,381人接種後)で初回接種後の2例の疑い症例が医薬 品医療機器総合機構(PMDA)に報告されている。なお、ウイルスべクターワクチンによるTTS/VITTの発生頻度は、英国で1/67,302(初回)、1/518,181(2回目)、米国では1/583,000 (初回)とされている。 ②TTS/VITT事例報告(令和3年3月)後も、世界各国のウイルスべクターワクチン接種後の採血制限は変わっておらず、無制限(米国・カナダ)、48時間(英国)、14日〜28日(欧州各国)、4週間(シンガポール)と概ね4週間以内となっている。 ③欧州疾病予防管理センター(ECDC)、InternationalPlasma Fractionation Association(IPFA)もTTS/VITTには関心をもちつつも、令和4年2月7日時点で献血希望者に対する採血基準の変更をする必要はないという意見である。 ④TTS/VITTの原因の一つとして抗PF4抗体産生の関与が疑われているが、殆どのケースが3〜4週間以内に発生しており、現時点でウイルスべクターワクチン接種者の血液に抗PF4抗体が混入するリスクは低いことから、4週間の採血制限により献血血液の安全性は確保できると考えられる。
①〜④よりウイルスべクターワクチン接種後4週間とする。また新型コロナウイルス既感染者の採血基準等について、新型コロナウイルス感染症と診断された者は、症状消失後4週間とする。さらには血液製剤等に係る遡及調査ガイドラインの改訂について研究班会議で検討案をまとめた。
結論
2021年度はSARS-CoV-2感染に関する事項を中心に、適切な採血事業体制構築に必要な提言をまとめた。

公開日・更新日

公開日
2022-08-10
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-08-10
更新日
2024-05-15

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202125004B
報告書区分
総合
研究課題名
安全な血液製剤の安定供給に資する適切な採血事業体制の構築のための研究
課題番号
19KC2002
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
浜口 功(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 岡田 義昭(埼玉医科大学 医学部)
  • 山口 照英(金沢工業大学 加齢医工学先端技術研究所)
  • 田野崎 隆二(慶應義塾大学医学部 輸血・細胞療法センター)
  • 大隈 和(関西医科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
新たな採血事業者の参入の可能性が検討されている状況を踏まえ、採血事業者が参入の際の許可基準として遵守すべき献血者に対する健康診断基準、採血事業者の行う問診について、提言をまとめることを目標とする。また、SARS-CoV-2感染者の急増に伴い、献血者の保護と血液の安定供給をはかるための採血基準の作成及びSARS-CoV-2の採血事業への影響を評価し、対応を検討する。また、遡及調査ガイドラインの見直しに関する検討を行う。
研究方法
新規に健康診断基準及び問診項目の設定するにあたり、CFR, AABB, PPTA, FDA, EDQM, USP, WHO等の情報(問診内容)との整合性も保つ一方、国内で現在用いられている基準のアップデートを図りながら、年5回の班会議の中で検討を行った。班会議には分担研究者及び日本赤十字社の担当者に協力研究者として加わっていただき、基準作りに必要なデータ及び情報の提供をいただいた。また、SARS-CoV-2感染拡大に伴い、血液製剤の取り扱いについて、現状の考え方について研究班で知見をまとめた。海外からの研究報告やガイドライン等を参考に、国内での対応の可能性を多角的に検討し、考え方をまとめた。令和2年度は年4回の班会議を開催した(2020年7月3日、10月21日、12月11日、2021年2月2日)。班会議には分担研究者及び日本赤十字社の担当者に協力研究者として加わった。なお、まとめた考え方は厚生労働省、血液事業部会安全技術調査会に検討内容として報告した。
結果と考察
2019年12月の安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律(血液法)の改正に伴い、採血業許可基準の検討、問診や体温、血圧などの献血者への健康診断基準の見直しなどが求められることとなった。2019年度は国内外の状況を調査し、献血者の保護を図り、血液からの病原体の伝播のリスクを低減させるための健康診断基準や問診項目作成に関する研究を行った。2020、2021年度は血液製剤の取り扱いについて、以下の3つの課題について現状の考え方を研究班でまとめた。海外からの研究報告、ガイドライン等を参考に、国内での対応の可能性を多角的に検討し、考え方をまとめた。①COVID19ワクチン接種者からの献血制限期間の見直しの検討においては、新型コロナウイルスワクチン(メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン(ファイザー社、モデルナ社))接種者の採血制限は接種後48時間とした。また、ウイルスべクターワクチン(アストラゼネカ社)接種者は採血の制限期間を接種後4週間とした。②COVID19回復者の献血制限期間については、症状消失(無症候 の場合は陽性となった検査の検体採取日)から4週間とした。③血液製剤等に係る遡及調査ガイドラインの改訂については改訂案を研究班会議で検討案をまとめ、厚生労働省血液事業部会安全技術調査会に検討内容として報告した。
結論
新たな採血事業者の参入の可能性が検討されている状況を踏まえ、採血事業者が参入の際の許可基準として遵守すべき献血者に対する健康診断基準案を作成した。さらに、採血事業者の行う問診について、案をまとめた。また、2020年度及び2021年度はSARS-CoV-2感染に関する事項を中心に検討し、提言をまとめた。

公開日・更新日

公開日
2022-08-10
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-08-10
更新日
2024-05-15

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202125004C

収支報告書

文献番号
202125004Z