技術革新を視野に入れた補装具の構造・機能要件策定のための研究

文献情報

文献番号
202118053A
報告書区分
総括
研究課題名
技術革新を視野に入れた補装具の構造・機能要件策定のための研究
課題番号
21GC2001
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
中村 隆(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所義肢装具技術研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 白銀 暁(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所福祉機器開発部)
  • 山崎 伸也(国立障害者リハビリテーションセンター 企画・情報部情報システム課)
  • 石川 浩太郎(国立障害者リハビリテーションセンター)
  • 清水 朋美(西田 朋美)(国立障害者リハビリテーションセンター病院 第二診療部 )
  • 小崎 慶介(心身障害児総合医療療育センター)
  • 須田 裕紀(新潟医療福祉大学 リハビリテーション学部 義肢装具自立支援学科)
  • 藤原 清香(東京大学医学部附属病院 リハビリテーション部)
  • 井村 保(中部学院大学 看護リハビリテーション学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
12,020,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は補装具費支給制度における①3D技術の基本工作法への適用②義肢装具・座位保持装置の機能区分の整理、③支給基準に関する基礎調査、④意思伝達装置および感覚系補装具に関する実態調査の4課題を設定し、現行制度の問題点の抽出と検証により、技術革新によってもたらされる現行制度の課題と解決法の提案を目的とする。
研究方法
① 3D技術の基本工作法への適用
(ア) 3D技術の普及に関する調査
(イ) 製作データに基づく基本工作法との比較
の2課題について実態調査した
②義肢装具・座位保持装置の機能区分の整理
関連産業規格、WHO(World Health Organization)の福祉用具関連資料、その他の書籍等資料を対象として資料収集を行った。
③支給基準に関する基礎調査
(ア) 小児筋電義手の製作修理に関する基礎調査
借受けの対象として、小児筋電義手を選び、小児筋電義手の支給に至るまでの過程について修理頻度等の後方視的調査を行った。。
④意思伝達装置および感覚系補装具に関する実態調査
(ア) PC アプリとして機能する意思伝達ソフトウエアを組み込んだ装置の実態調査
(イ) 言語獲得時期にある児童への意思伝達装置の支給に関する実態調査
(ウ) デジタル補聴援助システムの実態調査
(エ) 骨導補聴器・軟骨伝導補聴器、各種人工聴覚機器の修理対応
(オ) コンタクトレンズの基準検討のための現況・課題の把握と画像処理方式の眼鏡型新規デバイスの現況
(カ) 視覚障害者安全つえ・石突等の価格実態調査
 の6課題について販売実績等を調査した。
結果と考察
結果
① 3D技術の基本工作法への適用
(ア) 3D技術の普及に関する調査
回答者の9割近くが、3次元デジタル造形(3D)技術は有用と回答した。回答者の44%の回答者が機器を導入していた。製作対象は限定的だった。
(イ) 製作データに基づく基本工作法との比較
3D製法には①早期医療やリハビリの推進,②入院期間の短縮、③医療・リハビリ効果の向上,④採型時の患者や義肢装具士の負担減等の効果が期待できること、一方,初期コスト,造形物の強度や耐久性の問題,障害者総合支援法の補装具支給制度との整合性などの課題が明らかとなった。.
② 義肢装具・座位保持装置の機能区分の整理
 「座位保持装置」の全体の分類は存在しないことが確認されたが、クッションに関しては複数の分類が確認され、試案を作成した。
③支給基準に関する基礎調査
(ア) 小児筋電義手の製作修理に関する基礎調査
対象児5名の調査では、総じて部品交換が必要な故障は少なかった。一方、成長に伴うソケットの更新期間は4~19か月であった。
④意思伝達装置および感覚系補装具に関する実態調査
(ア) PC アプリとして機能する意思伝達ソフトウエアを組み込んだ装置の実態調査
① 行政調査では、対応製品の確認として、消費税法における非課税対象の障害者用物品としている場合があった。②販売事業者調査では、意思伝達装置の主機能以外に対する負担が大きいことが確認された。
(イ) 言語獲得時期にある児童への意思伝達装置の支給に関する実態調査
 市区町村を対象とした支給実態の照会では、全支給のうち1%にも満たない状況であり、全国の全件としても毎年5例程度と推測された。
(ウ) デジタル補聴援助システムの実態調査
 FM方式の補聴援助システムは新規に製造されていないこと、デジタル方式が95%以上を占めていることが判明した。
(エ) 骨導補聴器・軟骨伝導補聴器、各種人工聴覚機器の修理対応
 骨導補聴器については、毎年43~59台の販売実績があり、ヘッドバンド型が多かった。人工内耳用イヤモールドについては、毎年700前後の販売実績があった。
(オ) コンタクトレンズの基準検討のための現況・課題の把握と画像処理方式の眼鏡型新規デバイスの現況
 眼科医の調査結果では、原疾患の86.8%は円錐角膜であった。ハードコンタクトレンズが137件とく、交換スケジュールはコンベンショナルが147件(93.0%)と大半を占めた。
(カ) 視覚障害者安全つえ・石突等の価格実態調査
 視覚障害者安全つえの補装具としての販売個数(2020 年度)は 3,804 個であった。石突の種別を固定型、「回転型」、「屈曲型」と大別した。
考察
調査からは、現行制度が技術の進歩に追いついていない面が明確になった。
今後はより詳細な調査を行い、制度見直しの根拠を形成する必要がある。
結論
補装具費支給制度における4課題について実態調査に基づき現行制度の問題点の抽出を行った。各課題において、技術の進歩に由来する現行制度と現実の乖離が認められ、制度運用のための課題を明らかにできた。

公開日・更新日

公開日
2023-01-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2023-01-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202118053Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
13,700,000円
(2)補助金確定額
11,010,000円
差引額 [(1)-(2)]
2,690,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 6,552,189円
人件費・謝金 1,367,896円
旅費 59,606円
その他 1,350,309円
間接経費 1,680,000円
合計 11,010,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-06-21
更新日
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