住宅宿泊事業における衛生管理手法に関する研究

文献情報

文献番号
202027011A
報告書区分
総括
研究課題名
住宅宿泊事業における衛生管理手法に関する研究
課題番号
19LA1008
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
阪東 美智子(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 堀田 祐三子(和歌山大学 観光学部)
  • 本間 義規(宮城学院女子大学生活科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
研究分担者 山田裕巳 国立保健医療科学院(令和2年4月1日~令和2年12月31日) →研究協力者 山田裕巳 積水ハウス株式会社総合住宅研究所(令和3年1月1日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
住宅宿泊事業法の施行上の問題や届出案件の衛生管理上の問題点を明らかにし、行政や事業者が実施すべき衛生管理手法について提案を行うことを目的とする。
研究方法
令和2年度は以下の6つの調査を実施した。
(1)統計からみる民泊の動向と地域ごとの特性に関する調査
(2)宿泊事業を対象とする自治体の新型コロナウイルス感染症対策の取組みに関する調査
・コロナ禍における住宅宿泊事業の動向に関する調査
・コロナ禍において自治体が実施した宿泊事業(住宅宿泊事業、旅館業)に対する事業・支援策に関する調査
(3)民泊の衛生管理等に関する住宅宿泊管理事業者の意識とその現状に関する調査
(4)民泊施設における清掃方法と汚染の除去効果に関する調査
(5)寝具の熱湿気性状及びウイルス感染対策に関する調査
・寝具の熱湿気性状の把握
・接触感染に寄与する人間の日常動作の把握と室内汚染部位の再転写率
・空気感染リスク評価
(6)「民泊環境衛生ノート」の作成
結果と考察
新型コロナウイルス感染症に伴う住宅宿泊事業の届出・廃止動向を明らかにした。また、自治体が住宅宿泊事業や旅館業に対して新型コロナウイルス感染症対策として実施している補助金事業の応募状況などから、事業者の感染症対策に対する関心・ニーズが少なからず存在することを確認した。運営・管理業務を受託している管理事業者に対する調査からは、管理業務の一部を再委託している管理事業者は約3分の1あり、このうち約半数が日常清掃などを再委託していることなどが明らかになった。衛生管理手法の実証実験では、蛍光イメージング法で汚染箇所をある程度把握できることを示し、それらの箇所のATP量からスイッチプレートおよび近傍壁面の汚染度が高いことや、清掃による汚染除去率が高いことを確認した。民泊施設における清掃方法の違いによる汚染の除去効果については、一般生菌やATP量の変化から、清掃方式によっては汚染を正確に除去できずかえって増大させる可能性があることや、適切な清掃条件で清掃すると一般生菌の低下に効果があることなどを明らかにした。これらの成果を踏まえて民泊施設の衛生管理に関する読本(小冊子)を作成し配布した。配布先の自治体からは指導や研修で活用したいなどの評価を得た。
結論
新型コロナウイルス感染症により、住宅宿泊事業の経営は大きな打撃を受けたが、一方で、衛生管理に関する関心や取組の必要性は高まっている。
新型コロナウイルス感染症が収束すれば、再び観光立国として国内外からの観光客の受入れは増えることが予想されることから、それに備えた住宅宿泊事業の衛生管理の方策を進める必要がある。
本研究により、住宅宿泊管理事業者への働きかけの必要性や、清掃手法の違いによる汚染除去の効果の違いが明らかになった。
これらの研究成果を踏まえ、感染症予防を含む衛生管理に関する小冊子(読本)を作成することができた。作成した小冊子(読本)は、事業者や自治体職員の研修や指導に活用できるとの評価を得ており、本研究の目的である住宅宿泊事業の衛生管理手法の提案について、一定の成果を収めることができた。

公開日・更新日

公開日
2022-05-19
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2022-05-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202027011B
報告書区分
総合
研究課題名
住宅宿泊事業における衛生管理手法に関する研究
課題番号
19LA1008
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
阪東 美智子(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 堀田 祐三子(和歌山大学 観光学部)
  • 本間 義規(宮城学院女子大学生活科学部)
  • 山田 裕巳(長崎総合科学大学 工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
住宅宿泊事業法施行後の法の施行状況や、物件の衛生管理等の実態について、旅館業法に基づく許可案件等との比較分析を行い、法施行上や物件の衛生管理上の問題点を明らかにし、行政や事業者が実施すべき衛生管理手法について提案を行うことを目的とする。
研究方法
以下の調査を実施した。
(1)住宅宿泊事業法の施行状況に関する調査
(2)宿泊事業を対象とする自治体の新型コロナウイルス感染症対策の取組みに関する調査
(3)民泊の衛生管理等に関する事業者意識に関する調査
(4)寝具・台所周りの汚染状況と清掃効果の検討
(5)ウイルス感染対策に関する調査
(6)民泊施設の汚染評価方法の検討及び清掃方法と汚染の除去効果に関する調査
(7)感染症対策リーフレット及び「民泊環境衛生ノート」の作成
結果と考察
1年目の調査研究では、既存の条例やガイドライン・手引き等が近隣トラブルの予防に重点を置いており、衛生管理や感染症対策に関する情報が少ないこと、しかしながら、管理や清掃を担う管理事業者や清掃業者の衛生管理に対する意識が低く技術や知識が不足していることが明らかになった。また、民泊施設・簡易宿所の実測調査から民泊施設が簡易宿所等に比べて汚染やアレルゲンの除去が十分でないことなどを明らかにした。さらに、試案として感染症対策リーフレットを作成し行政窓口に配布をした。
2年目の調査研究では、新型コロナウイルス感染症に伴う住宅宿泊事業の届出・廃止動向、自治体が住宅宿泊事業や旅館業を対象に実施している新型コロナウイルス感染症対策の取組みを把握した。管理事業者に対する調査からは、管理業務の一部を再委託している管理事業者は約3分の1あり、このうち約半数が日常清掃などを再委託していることなどが明らかになった。衛生管理手法の実証実験では、蛍光イメージング法で汚染箇所をある程度把握できることを示し、それらの箇所のATP量からスイッチプレートおよび近傍壁面の汚染度が高いことや、清掃による汚染除去率が高いことを確認した。民泊施設における清掃方法の違いによる汚染の除去効果については、一般生菌やATP量の変化から、清掃方式によっては汚染を正確に除去できずかえって増大させる可能性があることや、適切な清掃条件で清掃すると一般生菌の低下に効果があることなどを明らかにした。これらの成果を踏まえて民泊施設の衛生管理に関する読本(小冊子)を作成し配布した。配布先の自治体からは指導や研修で活用したいなどの評価を得た。
結論
既存の条例やガイドラインは、住宅宿泊事業の開設にあたり近隣トラブルの予防に重点が置かれていた。今後は、適切な運営に欠くことのできない衛生管理や感染症対策を推進することが重要である。新型コロナウイルス感染症により、住宅宿泊事業の経営は大きな打撃を受けたが、一方で、衛生管理に関する関心や取組の必要性は高まっている。
一方、実際に管理や清掃を担う管理事業者や清掃業者については、衛生管理に対する意識が低く、技術や知識も十分ではなく、研修体制もないことから、これらの人々に向けた対策が必要である。
本研究では、清掃手法の違いによる汚染除去の効果の違いが明らかになった。これらの研究成果を踏まえ、感染症予防を含む衛生管理に関するリーフレットと小冊子(読本)を作成した。作成したリーフレットや小冊子(読本)は、事業者や自治体職員の研修や指導に活用できるとの評価を得ており、本研究の目的である住宅宿泊事業の衛生管理手法の提案について、一定の成果を収めることができた。

公開日・更新日

公開日
2022-05-19
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-05-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202027011C

収支報告書

文献番号
202027011Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,000,000円
(2)補助金確定額
6,025,000円
差引額 [(1)-(2)]
1,975,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,290,144円
人件費・謝金 1,423,138円
旅費 229,160円
その他 2,082,912円
間接経費 0円
合計 6,025,354円

備考

備考
自己資金354円

公開日・更新日

公開日
2022-02-08
更新日
-