既存添加物等の安全性に関する研究

文献情報

文献番号
200734020A
報告書区分
総括
研究課題名
既存添加物等の安全性に関する研究
課題番号
H18-食品-一般-008
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
鰐渕 英機(大阪市立大学大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 今井田 克己(香川大学医学部)
  • 中江 大(東京都健康安全研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
46,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究では、安全性が確認されていない既存添加物のうち、ラット肝発がん促進作用が明らかになったダンマル樹脂について1年間慢性毒性試験、32週間多臓器中期発がん性試験および2年間発がん性試験をラットに施行し、3年間かけてその安全性を評価する。また、栄養強化剤の用途として既存添加物名簿に収載されているアミノ酸の安全性評価の一環として、L-セリンの90日間反復投与毒性試験を実施する。
研究方法
 ダンマル樹脂の1年間慢性毒性試験では、雌雄F344ラットにダンマル樹脂をそれぞれ0%、0.03%、0.125%、0.5%、2%の濃度で混餌投与する。2年間発がん性試験では、雌雄F344ラットにダンマル樹脂をそれぞれ 0%、0.03%、0.5%、2%の濃度で混餌投与する。
 ダンマル樹脂の発がん修飾作用を検討するための多臓器中期発がん性試験では、雄F344ラットに実験開始4週間にイニシエーション処置として5種類の発がん物質を投与し、1週間の休薬後ダンマル樹脂を0%、0.03%、0.125%、0.5%、2%の濃度で27週間混餌投与する。
L-セリンの90日間反復投与毒性試験では、雌雄F344ラットにL-セリンをそれぞれ 0%、0.06%、0.5%、1.5%、2%の濃度で混餌投与する。
 上記試験の検索項目は以下の通りである。すなわち、体重、摂餌・摂水量、血液学的検査および各臓器の病理組織学的検索である。
結果と考察
 1年間慢性毒性試験の結果、2%群では雌雄ともに体重増加抑制が認められた。0.5%および2%群の雌雄ともに絶対肝重量および相対肝重量が対照群と比較して有意に増加した。肉眼的病理学検査ではダンマル樹脂投与による変化および腫瘍性病変は認められなかった。肝臓を病理組織学的に検索した結果、腫瘍性病変は認められなかったが、雌の0.5%および2%群ではS-トランスフェラーゼの誘導が認められた。他の臓器における病理組織学的変化については、現在検索中である。2年間発がん性試験は現在進行中であり、70週間の投与時点では、生存率および腫瘍の発生頻度については各群間に有意な差はなかった。ダンマル樹脂の多臓器中期発がん性試験およびL-セリンの90日間反復投与毒性試験は現在進行中である。
結論
 ダンマル樹脂の1年間慢性毒性試験では、0.5%および2%の用量では肝臓に対する毒性影響が認められた。今後他の臓器の病理組織学的検索の結果をふまえて、許容一日摂取量を求める。ダンマル樹脂の発がん性の有無については、2年間発がん性試験の結果により最終的に判定する予定である。

公開日・更新日

公開日
2008-04-09
更新日
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