検査機関の信頼性確保に関する研究

文献情報

文献番号
200734002A
報告書区分
総括
研究課題名
検査機関の信頼性確保に関する研究
課題番号
H17-食品-一般-002
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
遠藤 明(財団法人食品薬品安全センター)
研究分担者(所属機関)
  • 大島 赴夫(財団法人食品薬品安全センター秦野研究所)
  • 田中 之雄(大阪府立公衆衛生研究所)
  • 町井 研士(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 中澤 裕之(星薬科大学)
  • 松木 容彦(社団法人日本食品衛生協会食品衛生研究所)
  • 渡邉 敬浩(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 米谷 民雄(国立医薬品食品衛生研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
50,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
農薬の一斉分析に伴う精度管理体制の構築,ELISA法における測定値の信頼性評価,食品中ダイオキシン類検査,組換え遺伝子技術応用食品検査,精度管理調査のための適正試料作製等の検討を行い,外部精度管理体制の整備・構築を図り,検査成績の信頼性確保システムをより充実化させ,円滑な行政活動に資することを目的とした.
研究方法
農薬添加野菜・魚粉末試料を検査機関に配布して検査を実施した.マイクロプレート上の酵素・基質発色反応,ニューキノロン測定用マイクロプレートによる測定値変動の要因を検討した.定量PCR法における蛍光データ解析ソフト(GiMlet)の開発の試み,これを用いた解析を行った.フグ鑑別試験法の分析結果の判定基準を検討した.理化学検査,微生物学検査,貝毒検査,アレルギー物質検査の試料作製を試み,基材の選択・安定性・均一性等を検討した.
結果と考察
GC/MS,LC/MS/MSを用いた精度管理を行ない良好な結果を得た.ダイオキシン類検査は,TEQ 26pg/gの試料で試験室間RSD%は6.2%であった. ELISA法のバラツキは,エッジ効果よりも実験者習熟度が大きな影響を示した.定量PCR法は,ベースラインの補正方法が可能となり,不良な結果を出す機器はPCR効率が均一でないことを示唆した.また,フグ鑑別試験法の分析結果では,トラフグ,カワハギ,シマフグで100%の相同性,カラスフグは85%と実験エラーを含む可能性,アンコウ,ウマズラハギでは標本配列がないため同定できない結果であった.下痢性貝毒の精度管理で概ね良好な結果を得,理化学・微生物学検査の試料については改善を行った.アレルギー検査では高濃度標準液の回収率、-20℃での保存安定性とも良好な結果であったが、一次標準粉末では、回収率に問題があった.
結論
農薬一斉分析法に伴う調査試料作製法,適正試料の作製方法は,基材の選択,妥当性,均一性・安定性が確認された.ダイオキシン類の外部精度管理では,分析値の信頼性が保証された. 定量PCR法ではGiMletによって解析することで,分析法の精度に関する運用管理上重要な知見を得た.魚種間鑑別では,より多くのフグ種,および他機種シーケンサーへの適用可能性が望まれる.

公開日・更新日

公開日
2008-04-07
更新日
-

文献情報

文献番号
200734002B
報告書区分
総合
研究課題名
検査機関の信頼性確保に関する研究
課題番号
H17-食品-一般-002
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
遠藤 明(財団法人食品薬品安全センター)
研究分担者(所属機関)
  • 大島 赴夫(財団法人食品薬品安全センター秦野研究所)
  • 田中 之雄(大阪府立公衆衛生研究所)
  • 中澤 裕之(星薬科大学)
  • 松木 容彦(社団法人日本食品衛生協会食品衛生研究所)
  • 町井 研士(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 渡邉 敬浩(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 米谷 民雄(国立医薬品食品衛生研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
外部精度管理用適正試料の作製検討,食品中ダイオキシン類検査,組換え遺伝子技術応用食品検査,残留農薬等の一斉分析法の検討,貝毒検査ならびにアレルギー検査試料の作製について検討し,外部精度管理体制の整備・構築を図り,検査成績の信頼性確保システムをより充実化させ,円滑な行政活動に資することを目的とした.
研究方法
精度管理用適正試料は,食品・食品等規格基準を参考に基材の選択,安定性・均一性・回収率等を検討した.農薬添加野菜・魚粉末試料・貝毒検査は精度管理を行い,Xbar-R管理図,Z-スコア,バイオアッセイ等で評価した.市販標準品(44種類,132種)を用い比較検討を行った.組換え食品では,GMトウモロコシおよびダイズDNAの収量確認とデータベース補正,ならびにフグ鑑別試験法の分析結果の判定基準を検討した.
結果と考察
GC/MS対象農薬274種(異性体を含む),LC/MS/MS対象農薬189種(異性体を含む)について極めて有効な結果であった.添加回収試験で農産物28種,農薬352種においても基準を満たした.市販標準品44物質(129種)について比較調査をし,HPLCで13種,GCで17種の農薬に不備を認めた.下痢性貝毒の精度管理は概ね良好な結果を得,理化学・微生物学検査試料作製で試料の改善を行った.アレルギー検査は高濃度標準液の回収率,保存安定性とも良好な結果であった.ダイオキシン類検査は,異性体間で特にRSDに大きなバラツキを認めた.組換え食品検査では,DNA抽出でMAXI法が43.21μgと最も高く,CTAB法で2.81μgと最も少なく,ベースラインの補正方法は可能となった.また,魚種の鑑別はDNAの相同性に依存して可能であった.
結論
農薬一斉分析法の妥当性,均一性・安定性が確認され,これを用いた精度管理は良好であった.適正試料作製は,基材の選択,調製方法の妥当性,均一性,安定性が確認された.ダイオキシン類検査では,単年度の参加機関で大きなz-スコアとなる傾向が見られた.組換え食品では,使用する定量PCR機器の性能により測定値が変動する可能性が示された.魚種間鑑別では,より多くのフグ種,および他機種シーケンサーへの適用可能性が望まれる.

公開日・更新日

公開日
2008-04-07
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200734002C

成果

専門的・学術的観点からの成果
食品衛生検査施設の精度管理は,流通する数多くの食品を抱える我が国において特に重要な課題である.食品の安心・安全確保を担保するにあたり外部精度管理用適正試料の作製検討,食品中ダイオキシン類検査,組換え遺伝子技術応用食品検査,残留農薬等の一斉分析法の検討,貝毒検査ならびにアレルギー検査試料の作製に関する検討を試み,概ね良好な結果を得た.また,外部精度管理体制の整備・構築を図り,より充実化した検査成績の信頼性確保システムについて寄与した.
臨床的観点からの成果
なし
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
ポジティブリスト制による一斉分析法(平成18年5月29日施行)は,農薬等約800種(うち農薬516種)の一律基準値0.01ppmを基にスクリーニングする試験法で,「食品中に残留する農薬等に関する妥当性評価ガイドライン」(平成19年11月15日食安発第1115001号)により標準的方法で評価を行うことになった.模擬試料を用いた研究協力機関でのGC/MS,LC/MS/MSによる一斉分析法の精度管理では極めて有効な結果を得,平成20年度食品衛生外部精度管理調査の一項目として準備している.
その他のインパクト
なし

発表件数

原著論文(和文)
4件
原著論文(英文等)
2件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
29件
学会発表(国際学会等)
7件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Koichi Saito, Masahiko Ogawa, Mikiko Takekuma et al.
Systematic analysis and overall toxicity evaluation of dioxins and hexachlorobenzene in human milk.
Chemosphere , 61 , 1215-1220  (2005)
原著論文2
笠間菊子、渡邉敬浩、鈴木達也 他
遺伝子組換えダイズ(ラウンドアップ・レディー・大豆40-3-2系統)の定量検査法の外部精度管理試験
食衛誌 , 46 (6) , 270-276  (2005)
原著論文3
渡邉敬浩、笠間菊子、菊地博之 他
遺伝子組換えトウモロコシ(Mon810系統)の定量PCR法を対象とした外部精度管理試験
食衛誌 , 47 (1) , 15-27  (2006)
原著論文4
Migaku Kawaguchi, Rie Ito, Naoyuki Endo et al.
Stir bar sorptive extraction and thermal desorption-gas chromatography-mass spectrometry for trace analysis of benzophenone and its derivatives in water sample.
Anal. Chim. Acta , 557 , 272-277  (2006)
原著論文5
渡邉敬浩、時下祥子、笠間菊子 他
遺伝子組換えトウモロコシ(GA21ならびにMON810系統)の定量PCR法を対象とした外部精度管理試験
日本食品化学学会誌 , 13 (1) , 18-28  (2006)
原著論文6
渡邉敬浩、時下祥子、菊地博之 他
定量PCR法による遺伝子組換えトウモロコシの定量分析に適用される4種のDNA抽出法の比較検討
日本食品化学学会誌 , 13 (2) , 63-71  (2006)

公開日・更新日

公開日
2013-05-27
更新日
-