医療機器・医用材料の安全性評価手法開発に関する研究

文献情報

文献番号
200637009A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機器・医用材料の安全性評価手法開発に関する研究
課題番号
H16-医薬-一般-009
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
土屋 利江(国立医薬品食品衛生研究所 療品部)
研究分担者(所属機関)
  • 配島 由二(国立医薬品食品衛生研究所 療品部)
  • 新谷 英晴(国立医薬品食品衛生研究所 療品部)
  • 五十嵐 良明(国立医薬品食品衛生研究所 環境衛生化学部)
  • 佐藤 道夫(国立医薬品食品衛生研究所 療品部)
  • 伊佐間 和郎(国立医薬品食品衛生研究所 療品部)
  • 小林 郁夫(東京医科歯科大学 生体材料工学研究所 素材研究部門 生体材料学、材料科学)
  • 松永 佳世子(藤田保健衛生大学 医学部 皮膚科)
  • 澤田 留美(国立医薬品食品衛生研究所 療品部)
  • 迫田 秀行(国立医薬品食品衛生研究所 療品部)
  • 角田 正史(北里大学 医学部 公衆衛生学)
  • 堤 定美(京都大学 再生医科学研究所 生体機能学シミュレーション医工学分野 シミュレーション医工学、生体力学、生体材料学、生体工学 )
  • 脇谷 滋之(大阪市立大学大学院 医学部 整形外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
17,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療機器の安全性を評価するために、現行厚生労働省ガイドラインには記載されていない新しい手法の開発を行うことを目的とする。感染因子含有材料のin vivo動態評価手法の開発、再現性のある滅菌バリデーション達成法、非RI法による医療材料のアレルギー性評価手法開発、Ti-Ni合金等の安全性評価手法開発、ステントの力学・耐食性・血液適合性評価手法開発、人工関節用UHMWPEの疲労特性評価手法開発等を行う。
研究方法
エンドトキシンの生体影響を評価する。新規抗菌材料を開発する。滅菌による損傷菌の生育性能回復について検討する。アレルゲン評価の非RI-LLNA法を検討する。抗血栓薬の薬物代謝酵素遺伝子の遺伝子多型について対照血液と患者血液で検討する。新チタン合金を試作し、骨形成能を評価する。Ti/Ni合金等の動物埋植試験行い、組織反応を評価する。金属アレルギーについて調査する。人工硬膜に使用される生分解性材料について、埋植試験等で評価する。脊椎固定器具のコンピューターシミュレーションによる力学的安全性評価を行う。軟骨修復ヒト臨床類似の動物モデルを検討する。
結果と考察
ラット埋植試験により、腹腔適用材料についてエンドトキシン規格値を設定する必要がある。滅菌後の損傷菌はCa、glucose等により回復する。アレルゲン評価の非RI-LLNA法には、リンパ節細胞数、ATP量,alamar blue取り込み量が高い値を示した。抗血栓薬ワーファリンのターゲット遺伝子について、健常人100名、患者10名について、11遺伝子29SNPのタイピングを行った。Ti-Ni合金等の埋植試験等で、Ti-6Al-4Vは、Vの細胞毒性、Tiのアレルギー反応が観察された。Ti-Zr-Nb合金は骨形成能と力学的適合性に優れた。Ti-Niは、溶液浸漬時間とともに溶出量が増加した。長時間での為害性が懸念される。dibutyltinは、低濃度で神経毒性がある。有限要素モデル・数値シミュレーション手法で脊椎固定器具の疲労寿命評価を行い、構造複雑性が耐久性低下する。
結論
エンドトキシン規格値は、材料適用部位により設定必要。再現性の良い滅菌バリデーション法開発。アレルギー性試験の非RI法開発、Ti-Ni合金の短期、静置下では、大きな問題はないが長期・ストレス下ではリスクは残る。人工骨材料の評価手法開発、医療機器不具合因子の解析継続必要、脳外科材料の行動毒性試験法開発、脊椎インプラントの寿命評価・力学的安定性評価手法開発、ブタは、関節軟骨修復モデルとなる。

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2008-01-23
更新日
-

文献情報

文献番号
200637009B
報告書区分
総合
研究課題名
医療機器・医用材料の安全性評価手法開発に関する研究
課題番号
H16-医薬-一般-009
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
土屋 利江(国立医薬品食品衛生研究所 療品部)
研究分担者(所属機関)
  • 配島 由二(国立医薬品食品衛生研究所 療品部 )
  • 新谷 英晴(国立医薬品食品衛生研究所 療品部 )
  • 五十嵐 良明(国立医薬品食品衛生研究所 環境衛生化学部 )
  • 佐藤 道夫(国立医薬品食品衛生研究所 療品部 )
  • 伊佐間 和郎(国立医薬品食品衛生研究所 療品部 )
  • 小林 郁夫(東京医科歯科大学生体材料工学研究所素材研究部門生体材料学、材料科学)
  • 松永 佳世子(藤田保健衛生大学 医学部 皮膚科)
  • 澤田 留美(国立医薬品食品衛生研究所 療品部 )
  • 迫田 秀行(国立医薬品食品衛生研究所 療品部 )
  • 角田 正史(北里大学医学部衛生学公衆衛生学)
  • 堤 定美(京都大学再生医科学研究所生体機能学部門シミュレーション医工学分野 シミュレーション医工学、生体力学、生体材料学、生体工学)
  • 脇谷 滋之(大阪市立大学大学院 医学部 整形外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療機器の安全性評価手法開発を行い、新規ガイドライン化を目指す。感染因子含有材料のin vivo動態評価手法の開発、再現性のある滅菌バリデーション達成法、非RI法による医療材料のアレルギー性評価手法開発、Ti-Ni合金等の安全性評価手法開発、ステントの力学・耐食性・血液適合性評価手法開発、人工関節用UHMWPEの疲労特性評価手法開発、脊椎固定器具の力学安定性評価手法開発、ブタモデルによる軟骨修復評価手法開発。
研究方法
エンドトキシン含有材料の腹腔内埋植による生体影響を評価。CAP-18/LL-3類縁体の抗菌活性を測定。各種滅菌による損傷菌の生育性能回復の検討。各種アレルゲンの非RI-LLNA法と血中抗体価の測定。血栓形成・パンヌス形成に関連する遺伝子多型について、対照血液と患者血液で解析。新チタン合金の、骨形成能をin vivo in vitroで評価。皮下埋植したTi/Ni合金等の組織反応評価。金属アレルギーの調査。dibutyitin含有人工硬膜の埋植試験と細胞による評価。UHMWPEの疲労特性試験。数値シミュレーションによる脊椎固定器具の力学的安全性評価。軟骨修復動物モデルの検討。
結果と考察
大腸菌乾燥菌体含有材料の腹腔内、皮下、骨欠損部埋植試験結果からエンドトキシン規格値を設定する。滅菌後の損傷菌は、滅菌法により異なる成分添加で回復した。アレルゲン評価の非RI-LLNA法では、Tween 80添加塗布のSI値が高い。蛋白性材料の生食抽出では、顕著な抗体価の増加はない。血栓形成、パンヌス形成の原因遺伝子多型について、健常人100名、患者10名について、11遺伝子29SNPのタイピングを行った。チタン合金の埋植試験等で、Ti-6Al-4Vは、Vの細胞毒性、Tiのアレルギー反応が観察された。Ti-Zr-Nb合金は骨形成能と力学的適合性に優れた。Ti-Niは、浸漬時間依存的溶出量の増加。重合触媒dibutyltinは、低濃度で神経毒性。有限要素解析法を用いた数値シミュレーションで脊椎固定器具の疲労強度の推定が可能、数値の妥当性も検証可能。
結論
適用部位に適切なエンドトキシン規格値は異なる。再現性のある滅菌バリデーション法の培地成分を示す。材料の遅延型・即時型アレルギー試験の非RI法を示す。Ti-Ni合金の短期、静置下では、大きな問題はないが長期・ストレス下でのリスクは不明。人工骨材料の短期評価手法開発、医療機器不具合分子解析継続重要、行動毒性試験等による脳神経外科材料評価は重要。脊椎インプラント寿命評価手法開発、関節軟骨修復動物モデル。

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2008-01-23
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200637009C

成果

専門的・学術的観点からの成果
乾燥大腸菌含有材料のエンドトキシン規格値設定。各種滅菌損傷菌,異なる成分添加で回復。アレルゲン評価の非RI-LLNA法。血栓、パンヌス形成原因遺伝子多型、11遺伝子29SNP解析終了。Ti-6Al-4Vは、Vの細胞毒性、Tiのアレルギー反応を観察した。Ti-Zr-Nb合金は骨形成能と力学的適合性に優れた。Ti-Niは、浸漬時間依存的Ni溶出量の増加。触媒dibutyltin、低濃度で神経毒性。有限要素解析脊椎固定器具疲労強度の推定が可能。
臨床的観点からの成果
臨床使用する各個別の医療機器や医用材料のエンドトキシン規格値を動物実験結果を基に、設定できた。生体の様々な部位に使用される医療機器・医用材料のエンドトキシン規格値の基になる結果を得た意義は大きい。
人工心臓弁の不具合がおきる個人差の要因を遺伝的背景の違いから研究をすすめた。まだ、臨床サンプル数が不足しているため、特定できていないが、関心のある医師との協力体制ができてきた。
ガイドライン等の開発
平成17年度から開始された次世代医療機器評価指標事業では、インプラント分野で、コンピューターシミュレーション技術をTFとして平成18年度立ち上げ、一定モデルについて各種ソフトを使用し、ソフト間での得られた結果の違いについて、比較した。引き続き、この技術を進展させ、低コストで、迅速に評価可能で実用性のあるガイドラインを開発する。
その他行政的観点からの成果
各種チタン合金が開発され、使用されている。同一のデザイン、同一のプロトコールで動物実験を実施した、各種チタン合金材料の有用性と問題点を。明らかにできた。
次世代医療機器評価指標作成を5分野の医療機器、医用材料について検討し、評価指標(案)を作成し、担当する医療機器審査管理室へ提出し、報告書を国立医薬品食品衛生研究所、療品部のホームページへ掲載し、関係資料とともに、公開した。望まれる次世代医療機器の審査・承認に貢献大。
その他のインパクト
Medical Academy News:2007:最先端研究先回り評価指標・GL樹立, 2006:新規「Ti-Zr基合金」発表、2006:次世代医療機器研究開発を製品へと引き上げる。バイオテクノロジージャーナル:2007:スペシャル対談「日本の医療機器の研究開発と制度の動向」Nature(2007), バイオマテリアル-生体材料:2006:座談会「バイオマテリアルと未来社会」医療機器・医用材料の安全性評価手法開発に関する研究の成果発表会開催

発表件数

原著論文(和文)
2件
薬学雑誌、繊維学会誌
原著論文(英文等)
43件
Biomaterials, J. Biomed. Mater. Res., J.Artificial Organs, Tissue Engineering.
その他論文(和文)
15件
薬学雑誌、日本臨床、バイオテクノロジージャーナル、テイッシュエンジニアリング
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
74件
日本バイオマテリアル学会、日本人工臓器学会、日本再生医療学会、日本歯科理工学会
学会発表(国際学会等)
15件
Int.conference on Cellular Engineering, World Biomaterials Congress,
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計1件
その他成果(特許の取得)
0件
生体適合性材料米国出願
その他成果(施策への反映)
5件
次世代医療機器評価指標事業 5分野の評価指標(案)作成
その他成果(普及・啓発活動)
6件
成果発表会開催3回、医療機器フォーラム開催3回

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
N.Banu, T.Tsuchiya
Markedly different effects of hyaluronic acid and chondroitin sulfate-A on the differentiation of human articular chobndrocytes in micromass and 3-D honeycomb rotation culture.
J. Biomed. Mater. Res. , 80 , 257-267  (2007)
原著論文2
T. Nagira, M. Nagahata-Ishiguro, T.Tsuchiya
Effetcts of sulated hyaluronan on keratinocyte differentiation and Wnt and Notch gene expression.
Biomaterials , 28 , 844-850  (2007)
原著論文3
M.Tamai, K.Isama, R.Nakaoka et.al.
Synthesis of novel β-tricalcium phosphate/hydroxyapatite biphasic calcium phosphate containing niobium ions and evaluation of osteogenic properties.
J. Artificial Organs , 10 (1) , 22-28  (2007)
原著論文4
M.Tamai, R.Nakaoka, K.Isama et.al.
Novel calcium phosphate ceramics: The remarkable promoting action on the differentiation of the normal human osteoblasts
Bioceramics, Key Material Eng. , 309 , 97-100  (2006)
原著論文5
R.Nakaoka, T.Tsuchiya
Enhancement of differentiation and homeostasis of human osteoblasts by interaction with hydroxyapatite in microsphere
Bioceramics, Key Material Eng. , 309 , 1293-1296  (2006)
原著論文6
Yuping Li, T.Nagira, T.Tsuchiya
The effect of hyaluronic acid on insulin secretion in HIT-T15 cells through the enhancement of gap junctional intercellular communication.
Biomaterials , 27 , 1437-1443  (2006)
原著論文7
N.Banu, T.Tsuchiya, R.Sawada
Effects of biodegradable polymer synthesized with inorganic tin on the chondrogenesis of human articular cartilage.
J.Biomed. Mater. Res. , 77 , 84-89  (2006)
原著論文8
N.Banu, Y.Banu, M.Sakai et.al.
Biodegradable polymers in chondrogenesis of human articular chondrocytes
J.Artif. Organs , 8 (3) , 184-191  (2005)
原著論文9
T.Nagira, S.B.Mattews Y.Yamakoshi et. al.
Enhancement of gap junctional intercellular communication of normal human dermal fibroblasts cultured on polystyrene dishes grafted with poly-N-isopropylacrylamide (PIPAAm).
Tissue Engineering , 11 , 1392-1397  (2005)
原著論文10
M.Tamai, R.Nakaoka, T.Tsuchiya
In vitro study on the osteogenesis of normal human osteoblasts culturd on the discs of various kinds of calcium phosphate ceramics.
Archives of Bioceramics Research , 5 , 158-161  (2005)
原著論文11
R.Nakaoka, S. Ahmed, T.Tsuchiya
Hydroxy apatite microspheres enhance gap junctional intercellular communication of human osteoblasts composed of connexin43 and 45.
J. Biomed. Mater. Res. , 74 (2) , 181-186  (2005)
原著論文12
R.Saada, T.Ito, T.Tsuchiya
Changes in expression of genes related to cell proliferation
J Artifi. Organs , 9 , 179-184  (2006)
原著論文13
Y.Nakamura, H.Nakaya, N.Saito, et. al.
Co-ordinate expression of BMP-2, BMP receptors and Noggin in mouse spine.
J Clinical Neuroscience , 13 , 250-256  (2006)
原著論文14
A.Hosoya, H.Nakamura, T.Ninomiya, et.al.
Immunohistochemical localization of alpha-smooth muscle action during rat molar tooth development
J Histochem. Cytochem. , 54 , 1371-1378  (2006)
原著論文15
Y.Ikarashi, K.Toyoda, E.Kobayashi, et.al.
Improved Biocompatibility of Titanium-Zirconium (Ti-Zr) Alloy. Tissue Reaction and Sensitization to Ti-Zr Alloy compared with Pure Ti in Rat implantation study
Materials Transaction , 10 , 2260-2267  (2005)
原著論文16
H.Shintani
Importance of Considering Injured Microorganisms in Sterilization Validation
Biocontrol Science , 11 (3) , 91-106  (2006)
原著論文17
R.Kuroda, K.Ishida, T.Matsumoto, et. al.
Autologous bone marrow stromal cell implantation for an athlete: a case report
Osteoarthritis cartilage , 15 (2) , 226-231  (2007)
原著論文18
M. Takagi, Y. Fujiwara, S. Wakitani
High inoculation cell density could accelerate the differentiation of human bone marrow mesenchymal stem cells to chondrocyte cells.
J. Biosci. Bioeng. , 103 (1) , 98-100  (2007)
原著論文19
押村進、服部正巳、福井良昌 他
歯科との連携で治す皮膚疾患、今求められている皮膚科医と歯科医との連携・ネットワーク
Visual Dermatology , 5 , 1130-1137  (2006)
原著論文20
D.Y.Jung, Y-B Kang, T.Tsuchiya et al.
A novel non-destructive method for measuring elastic moduli of cultivated cartilage tissues
Key Engineering Materials , 342 , 853-856  (2007)

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-