安全性評価のための動物実験代替法の開発および評価体制の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200637005A
報告書区分
総括
研究課題名
安全性評価のための動物実験代替法の開発および評価体制の確立に関する研究
課題番号
H16-医薬-一般-005
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
大野 泰雄(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 小澤正吾(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 田中憲穂(食品薬品安全センター秦野研究所細胞毒性学部)
  • 戸倉新樹(産業医科大学 医学部皮膚科)
  • 吉村功(東京理科大学工学部)
  • 大森崇(京都大学大学院医学研究科)
  • 板垣宏(日本化粧品工業連合会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
18,781,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
化粧品等の毒性試験法で代替法の開発が十分でない単回投与毒性試験、感作性試験、光感作性試験の代替法及び皮膚代謝酵素発現細胞を開発する。また、代替法開発のための統計解析手法の研究を行う。
研究方法
代替法情報はSCCP、OECD、ECVAM、ICCVAM、EPAAなどのホームページの検索、EUのCOLIPAおよび米国のCTFAとの連繋、及び学会誌やニュースレターを通じて調査した。代替法のバリデーションと評価はOECDの基準に準じて実施した。個別代替法開発に関する方法は略した。
結果と考察
 RIを用いない皮膚感作性試験代替法(LLNA-DA法)の多施設バリデーションを実施し、良好な結果を得た。同LLNA-BrdU法についてはバリデーションを実施している。酵母光生育阻害試験と赤血球光溶血試験を組み合わせた光毒性試験バッテリーのための酵母光生育阻害試験については操作法を改良し、そのバリデーションを実施し、SOPの改正の妥当性を確認した。腐食性試験代替法については、日本製培養皮膚モデルのVitroLife SkinとEpiDermについて、第三者評価を実施している。
感作性試験代替法の開発では、THP-1細胞のCD86およびCD54の発現亢進を指標にした感作性試験代替法に供する細胞と血清の選択基準を定めた。光感作性試験代替法の検討では、ヒト培養ケラチノサイトに光接触皮膚炎発症物質ケトプロフェンとUVA処置によりTh1ケモカインであるMig及びIP-10の産生が変化した。
代謝活性化能を含む細胞の開発では、バキュロウィルスに発現させた各種のヒト皮膚発現P450分子種とCHO細胞を組み合わせたスクリーニング系を構築した。急性毒性予測のための細胞毒性試験法開発においては、細胞種よりも代謝活性化や薬物の処理時間が毒性発現に大きく関与した。
 代替法開発のための統計解析手法研究では、多施設バリデーション研究における最適な被験物質割り付け法、技術易移転性の評価法、容易にET50の信頼区間を求められる手順、LLNA-DA法のバリデーション研究の定量的な評価について検討し、バリデーション研究で活用にできる数々の知見を得た。
 OECDのガイドラインへ収載された代替法は、皮膚腐食性のためのIn vitro膜バリアー試験法だけであった。
結論
代替法のバリデーションと評価及び新規試験法の開発を行った。

公開日・更新日

公開日
2007-04-11
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2008-02-28
更新日
-

文献情報

文献番号
200637005B
報告書区分
総合
研究課題名
安全性評価のための動物実験代替法の開発および評価体制の確立に関する研究
課題番号
H16-医薬-一般-005
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
大野 泰雄(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 小澤正吾(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 田中憲穂(食品薬品安全センタ-秦野研究所細胞毒性学部)
  • 戸倉新樹(産業医科大学 医学部皮膚科)
  • 大森崇(京都大学大学院医学研究科)
  • 吉村功(東京理科大学工学部)
  • 板垣宏(日本化粧品工業連合会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
代替法に関する国際情勢調査、化粧品等の安全性評価のための代替法開発、および新規代替法適切性を評価する。代替法開発のための統計解析手法を研究する。
研究方法
関連機関のホームページを定期的に検索するとともに欧米の化粧品工業会と連繋し、海外代替法情報を収集した。評価試験法は公募し、一時評価は日本動物実験代替法学会に委託した。バリデーションは同学会と企業等の協力を得て実施した。
結果と考察
EUでは行政と企業が協力して代替法研究を促進するため3Rs宣言を行い、科学研究費の4%を3Rsのために支出するとした。JaCVAM設立記念シンポジウムが日本で開催された。韓国代替法学会が設立された。
OECDはin vitro光毒性試験、in vivo経皮吸収試験、in vitro経皮吸収試験、in vitro皮膚腐食性試験 (Transcutaneous Electrical Resistance Test、Human Skin Model Test、In vitro膜バリアー試験法)を採択した。
日本で開発されたVitroLife SkinとOECDで承認されたEpiDermについて、皮膚腐食性試験系としてのバリデーションを実施し、両者が同様の能力を持つことを示した。RIを用いない皮膚感作性試験代替法(LLNA-DA法)の多施設バリデーションを行い、良い結果を得た。現在、第三者評価を行っている。
酵母光生育阻害試験と赤血球光溶血試験を組み合わせた光毒性試験バッテリーのバリデーションの結果、擬陽性が多かったことから、プロトコールを修正した。
CD86やCD54発現亢進を指標にした感作性試験代替法(h-CLAT法)により、多くの施設で感作性物質と非感作性物質を識別できた。その標準化のための条件を検討している。
代替法開発のための統計解析手法の研究ではET50の区間推定法,アガールMLA法の性能を評価した。また、感度、特異度、一致度の割合を、被験物質のみに依存して計算する方法を提案した。多施設バリデーション実施に必要な統計手段を開発した。
結論
国際的に代替法研究が高まっている。In vivo皮膚感作性試験としてLLNA-DA法が、in vitro感作性試験代替法としてh-CLAT法が、皮膚腐食性試験代替法としてVitroLife Skin法が有望である。

公開日・更新日

公開日
2007-04-11
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2008-02-28
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200637005C

成果

専門的・学術的観点からの成果
わが国発のin vivo及びin vitro皮膚感作性試験や皮膚腐食性試験をバリデーション等により評価し、適切な方法であることを明らかにした。
臨床的観点からの成果
なし。
ガイドライン等の開発
日本学術会議による動物実験に関する指針作成に参画した。
その他行政的観点からの成果
1996年に改訂された動物の愛護と管理に関する法律に動物実験に関する3Rの原則が組み込まれた。これに際し、議員団から意見聴取を受けた。
その他のインパクト
in vitro皮膚感作性試験(h-CLAT)は何度か新聞に紹介された。また、日本動物実験代替法学会だけでなく、薬学会や薬理学会で代替法に関するシンポジウムを開催した。また、2007年に国際動物実験代替法会議を主催することとなった。

発表件数

原著論文(和文)
5件
原著論文(英文等)
39件
その他論文(和文)
5件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
85件
学会発表(国際学会等)
31件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-