進行大腸がんに対する腹腔鏡下手術の根治性に関する比較研究

文献情報

文献番号
200500492A
報告書区分
総括
研究課題名
進行大腸がんに対する腹腔鏡下手術の根治性に関する比較研究
課題番号
H16-がん臨床-018
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
北野 正剛(大分大学医学部外科第1)
研究分担者(所属機関)
  • 森谷 冝皓(国立がんセンター中央病院大腸外科)
  • 杉原 健一(東京医科歯科大学大学院腫瘍外科)
  • 小西 文雄(自治医科大学大宮医療センター外科)
  • 渡邊 昌彦(北里大学医学部外科)
  • 前田 耕太郎(藤田保健衛生大学消化器外科)
  • 正木 忠彦(杏林大学第1外科)
  • 齋藤 典男(国立がんセンター東病院骨盤外科)
  • 谷川 允彦(大阪医科大学一般・消化器外科)
  • 工藤 進英(昭和大学横浜市北部病院消化器センター)
  • 炭山 嘉伸(東邦大学医学部附属大橋病院外科学第三講座)
  • 門田 守人(大阪大学大学院病態制御外科)
  • 山田 英夫(東邦大学佐倉病院内視鏡治療センター)
  • 宮島 伸宜(帝京大学医学部附属溝口病院外科)
  • 福永 正氣(順天堂大学附属浦安病院外科)
  • 伴登 宏行(石川県立中央病院)
  • 岡島 正純(広島大学大学院内視鏡外科学)
  • 長谷川 博俊(慶應義塾大学外科)
  • 宗像 康博(長野市民病院外科)
  • 山口 茂樹(静岡がんセンター大腸外科)
  • 東野 正幸(大阪市立総合医療センター消化器外科)
  • 久保 義郎(国立病院機構四国がんセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
36,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
内視鏡外科手術は、低侵襲で整容性に優れている点で評価され、QOLを重視する現在の医療社会のニーズに合致し、大腸がんに対する外科治療の中でその占める割合はこの10年間で急速に増加してきた。導入初期には早期大腸がんのみを適応としていたが、現在では欧米においても本邦においても進行大腸がんにも適応が拡大されてきているが、遠隔成績から見た信頼性は未だ明確にされていない。本研究班では、進行大腸がんに対する腹腔鏡下手術と開腹手術との遠隔成績をランダム化比較試験を行い進行大腸がんに対する腹腔鏡下手術の位置づけを明確化することを目的とする。
研究方法
JCOG0404プロトコールに基づき、ランダム化比較試験の実施を行う。2,患者の理解度を高めランダム化比較試験の症例集積性を高めるための工夫を行う。3,臨床試験のQuality Control / Quality Assuranceを高める対策を行う。4,インフォームド・コンセントの結果の現状を明確にする。

結果と考察
本年度は進行大腸がんに対する腹腔鏡下手術と開腹手術との根治性に関するランダム化比較試験の3年計画の3年目であり、本臨床試験(JCOG 0404)は、2004年10月にスタートし、2006年3月現在で総登録数250例(開腹手術125例・腹腔鏡下手術125例)に達している。本研究は国内ではじめて実施される腹腔鏡下手術に関する多施設共同RCTであり、海外のRCTにない本臨床研究の特色は、対象を進行大腸がん(T3/T4)に限定、根治性に影響しうるリンパ節郭清度をD3と規定、患者によりわかりやすい説明を提供し症例集積性を高めるための患者説明用ビデオ・DVDを作成、手術手技のQuality control / Quality assuranceのため手術写真による中央判定委員会の設置、手術担当責任医の規定とその認定者へのSatificateの発行、手術手技の施設間の相互checkとして班会議でのビデオ閲覧を施行、などを規定している。
結論
 わが国の大腸がんに対する標準手術としての腹腔鏡下手術の位置づけを明確化するためは、進行がんに対する腹腔鏡下手術の長期成績を明らかにすることが必要である。JCOG臨床研究のランダム化比較試験において質の高いプロトコールの作成と高い倫理性に基づいた患者説明文書およびビデオなどのメディア作成、さらに手術手技のQuality control / Quality assuranceのため手術写真による中央判定委員会の設置、手術担当責任医の規定など、本臨床研究の遂行に有用と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2006-04-21
更新日
-

文献情報

文献番号
200500492B
報告書区分
総合
研究課題名
進行大腸がんに対する腹腔鏡下手術の根治性に関する比較研究
課題番号
H16-がん臨床-018
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
北野 正剛(大分大学医学部外科第1)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
内視鏡外科手術は、低侵襲で整容性に優れている点で評価され、QOLを重視する現在の医療社会のニーズに合致し、大腸がんに対する外科治療の中でその占める割合はこの10年間で急速に増加してきた。導入初期には早期大腸がんのみを適応としていたが、現在では欧米においても本邦においても進行大腸がんにも適応が拡大されてきているが、遠隔成績から見た信頼性は未だ明確にされていない。本研究班では、進行大腸がんに対する腹腔鏡下手術と開腹手術との遠隔成績をランダム化比較試験を行い進行大腸がんに対する腹腔鏡下手術の位置づけを明確化することを目的とする。
研究方法
進行大腸がんに対する腹腔鏡下手術と開腹手術との根治性に関するランダム化比較試験(JCOG0404)プロトコール,に基づき、ランダム化比較試験の実施を行う。2,患者の理解度を高めランダム化比較試験の症例集積性を高めるための工夫を行う。3,臨床試験のQuality Control / Quality Assuranceを高める対策を行う。
結果と考察
進行大腸がんに対する腹腔鏡下手術と開腹手術との根治性に関するランダム化比較試験のプロトコールおよび患者説明文書、臨床記録用紙を作成し、臨床試験(JCOG 0404)を2004年10月に開始。2006年3月現在で総登録数250例(開腹手術125例・腹腔鏡下手術125例)に達している。本研究は国内ではじめて実施される腹腔鏡下手術に関する多施設共同RCTであり、海外のRCTにない本臨床研究の特色は、対象を進行大腸がん(T3/T4)に限定、根治性に影響しうるリンパ節郭清度をD3と規定、患者によりわかりやすい説明を提供し症例集積性を高めるための患者説明用ビデオ・DVDを作成、手術手技のQuality control / Quality assuranceのため手術写真による中央判定委員会の設置、手術担当責任医の規定とその認定者へのSatificateの発行、手術手技の施設間の相互checkとして班会議でのビデオ閲覧を施行、などを規定している。
結論
 わが国の大腸がんに対する標準手術としての腹腔鏡下手術の位置づけを明確化するために、進行がんに対する腹腔鏡下手術と開腹手術の長期成績に関するランダム化比較試験を行うことが必要である。患者説明文書に加えてビデオなどのメディア作成、さらに手術手技のQuality control / Quality assuranceのため手術写真による中央判定委員会の設置、手術担当責任医の規定など、本臨床研究の遂行に有用と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2006-04-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-10-30
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500492C

成果

専門的・学術的観点からの成果
進行大腸がんに対する治療法として、腹腔鏡下手術が、従来の開腹手術と比較して、根治性や安全性の面での同等性および低侵襲性を示しうるかを多施設共同ランダム化比較試験(JCOG0404)を実施中である。本研究デザインについては、Japanese Journal of Clinical Oncology, 2005; 35(8): 475-477に論文掲載されている。またインターネット上での本研究情報の公開をClinicalTrials. gov.およびUMINにて行っている。
臨床的観点からの成果
進行大腸がんにおける腹腔鏡下手術と開腹手術とのランダム化比較試験(JCOG0404)を進行中である。IC取得率向上のために患者説明ビデオの作成、手術手技のQuality controlとして手術写真の中央判定評価システム導入、参加施設および術者の基準等の設定など採用している。現在総登録症例250例に到達しており、試験参加に際してのIC取得率は57%である。
ガイドライン等の開発
「大腸癌治療ガイドライン医師用」のII. 治療法の種類と治療法の解説の項目で、「腹腔鏡手術」の解説において本研究(phaseIII)の実施について記載されている。「大腸癌治療ガイドライン医師用;19,2005」
その他行政的観点からの成果
政府の医療費削減政策として、在院日数短縮は重要な目標である。本研究において大腸がんに対する腹腔鏡下手術が、進行がんにおいても低侵襲治療としての役割を発揮し、入院期間の短縮や早期社会復帰を促すことが可能かどうかを検証しうる臨床試験を実施中である。
その他のインパクト
朝日新聞,2004年9月29日掲載:大腸がんに対する腹腔鏡下手術の可能性を探る:進行大腸がんに対する腹腔鏡下手術の根治性に関する比較研究.
Japan Medicine, 2005年1月5日掲載:低侵襲治療の最前線:患者にやさしい手術-大腸がん-厚生労働省とJCOGとの共同研究
愛知県がんセンター市民公開講座、2006年3月12日開催(名古屋市、ウイル愛知):からだにやさしい腹腔鏡下手術;開腹せずに回復できる

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
厚労省班研究からみた腹腔鏡下手術の現況と展望.第105回日本外科学会定期学術集会. 2005年5月11日, 名古屋
学会発表(国際学会等)
2件
(Oral Presentation)April 15, 2005, Florida, U.S.A. (Symposium)November 22, 2005, Argentine.
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
「大腸癌治療ガイドライン医師用;19, 2005」にて引用
その他成果(普及・啓発活動)
1件
愛知県がんセンター市民公開講座、2006年3月12日開催(名古屋市、ウイル愛知):からだにやさしい腹腔鏡下手術;開腹せずに回復できる

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Kitano S, Inomata M, Sato A,et al.
Randomized controlled trial to evaluate laparoscopic surgery for colorectal cancer: Japan clinical oncology group study JCOG 0404.
Japanese Journal of Clinical Oncology , 38 (8) , 475-477  (2005)

公開日・更新日

公開日
2015-10-06
更新日
-