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文献情報

文献番号 201620013A
報告書区分 総括
研究課題 歯科ユニット給水システム純水化装置の開発に関する研究
課題番号 H28-医療-一般-004
研究年度 平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関) 江草 宏(東北大学 大学院歯学研究科) 
研究分担者(所属機関) 高橋 信博(東北大学 大学院歯学研究科)、山田 将博(東北大学 大学院歯学研究科) 
研究区分 厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
開始年度 平成28(2016)年度
終了予定年度 平成29(2017)年度
研究費 1,656,000円
研究者交替、所属機関変更  

研究報告書(概要版)

概要版 研究目的:
本研究の目的は、歯科ユニット給水系の水質についての現状を調査し、その水質が水道法や水質基準に関する省令の基準を満たさない場合には、経済性、実効性及び実現性の高い方策を考案し、新たな技術開発及び歯科ユニット給水系における感染予防ガイドラインの提案に繋げることである。
研究方法:
本研究計画の推進にあたり、計画への意見、歯科企業や歯科医師会会員の協力が得られるよう、日本歯科器械工業協同組合及び日本歯科医師会を研究協力者とする体制を整えた。厚生労働省医政局歯科保健課及び研究協力者の代表者を交えた会議を行い、歯科治療の感染管理の現状を把握するために、歯科医師会員の医療安全・感染防御に関する意識調査及び歯科ユニット給水系の水質について現状調査を行うことが確認された。 歯科医師会会員1,000名を対象にした医療安全・感染防御に関するアンケート調査を行った。また、東北大学病院内の0.1%過酸化水素水によるチェア給水管路洗浄装置を具備し、使用前に残留水を排出している歯科ユニット(以下、過酸化水素水洗浄ユニット)及び、専用の洗浄装置は具備していないが、日本歯科医学会監修の院内感染対策実践マニュアルに準じて使用前に残留水を排出しているもの(以下、一般ユニット)の水質調査を行った。調査項目として、残留水排出前後のハンドピース水及び含漱水における一般細菌数、従属栄養細菌数及び遊離残留塩素濃度を測定した。各項目の測定値の合否は、厚生労働省が示す水道水質基準に従って判定した。一般細菌は血液寒天培地を用いて検出し、基準値(100 CFU/mL以下)をもとに合否を判定した。従属栄養細菌はR2A寒天培地上での低温・長期培養法を用いて検出し、暫定目標値(2,000 CFU/mL以下)をもとに合否を判定した。遊離残留塩素濃度はジエチル−p−フェニレンジアミン反応の吸光度法により測定し、基準値(0.1 mg/L以上)をもとに合否を判定した。
結果と考察:
アンケート回答率は70%で、日本全国の地域からほぼ均等に回答が得られた。回答者の大多数は、年齢50代前後で、平均的規模の歯科医院を10年以上開業していた。医療安全や感染管理等に関する以前の調査結果(平成24年3月)と比較すると、歯科切削器具や観血処置を行う器具を的確に滅菌している割合は増加していた。また、感染管理にかかる概念や方法論は概ね広く浸透していた。診療報酬の感染防止対策にかかわる部分に関して、半数を超える歯科医院では、歯科外来診療環境体制加算の算定やかかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の届出を行っておらず、その多くは設備要件を満たさないことが理由であった。また、歯科医療機関の医療安全・感染予防対策はまだ改善が必要だが、これに要する診療報酬はまだ不十分であると感じている歯科医院が多く見受けられた。 歯科ユニット水質検査の結果、含嗽水及びハンドピース水から基準値を超える一般細菌は検出されなかった。また、過酸化水素水洗浄ユニットでは、ハンドピース水及び含漱水ともに、フラッシング前後で従属栄養細菌数は目標値以下に抑えられていた。一般ユニットの含漱水における遊離残留塩素濃度及び従属栄養細菌数は、残留水排出後にそれぞれ基準値及び暫定目標値を満たした。しかし、ハンドピース水では、残留水排出後でも、遊離残留塩素濃度及び従属栄養細菌数はともに基準値及び暫定目標値を満たさなかった。ただし、検出された従属栄養細菌の菌種を同定した結果、病原性が疑われる細菌の存在は認めなかった。一方、一般ユニットであっても、給水管路全体を化学的に洗浄した後に残留水排出を行えば、ハンドピース水の遊離残留塩素濃度及び従属栄養菌数はそれぞれ基準値及び暫定目標値を満たすことができる可能性が示唆された。 歯科ユニットの含嗽水は、水道管から放出部までの経路が比較的短いため、水流量は多く、水勢も強いまま供給される。したがって、残留水排出を行えば水道水質基準に準拠する水質が得られていると考えられる。これに対して、ハンドピース水は、水道管から放出部まで長い経路をたどる上に、接合部の多い複雑で細い水路から供給されるため、基準に準拠する水質の保持が困難である可能性が示唆された。しかしながら、歯科ユニット給水管路全体を定期的に化学的洗浄した上でユニット使用前の十分な残留水排出を毎朝行うことにより、ハンドピースの水質は水道水質基準を満たすレベルに改善される可能性が示唆された。
結論:
 歯科ユニットの含漱水は、残留水の排出を行うことにより水道水質基準に準拠する水質を保つことが可能である。洗浄装置を具備していない歯科ユニットのハンドピース水を水道水質基準に管理するためには、使用前の残留水排出を毎朝行うだけでなく、定期的な給水管路全体の化学的洗浄の併用など、他の方策が必要であることが示された。
公開日 2017年05月30日
研究報告書
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表紙
目次

目次  [0.004MB]

総括研究報告書

総括研究報告書  [0.017MB]

その他

資料1  [0.336MB]

資料2  [1.057MB]

研究成果の刊行に関する一覧表

別添5   [0.005MB]

 

公開日・更新日

公開日 2017年05月30日
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