概要版

文献情報

文献番号 201617008A
報告書区分 総括
研究課題 医療機関等における薬剤耐性菌の感染制御に関する研究
課題番号 H28-新興行政-一般-003
研究年度 平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関) 柳原 克紀(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科 医療科学専攻 展開医療科学講座 病態解析・診断学) 
研究分担者(所属機関) 大石 和徳(国立感染症研究所感染症疫学センター 呼吸器内科学、感染症内科学)、賀来 満夫(東北大学大学院医学系研究科総合感染症学分野 感染制御学、感染症内科学、臨床微生物学)、三鴨 廣繁(愛知医科大学大学院医学研究科臨床感染症学 感染症学、感染制御学、臨床微生物学)、山本 善裕(富山大学大学院医学薬学研究部感染予防医学講座 呼吸器内科学、感染症内科学、感染制御学)、泉川 公一(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 感染免疫学講座 臨床感染症学分野 感染症内科学、呼吸器内科学、感染制御学)、大曲 貴夫(国立研究開発法人国立国際医療研究センター 臨床感染症学(国立国際医療研究センター内)、感染症内科学) 
研究区分 厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究
開始年度 平成28(2016)年度
終了予定年度 平成30(2018)年度
研究費 8,746,000円
研究者交替、所属機関変更  

研究報告書(概要版)

概要版 研究目的:
 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)や多剤耐性緑膿菌(MDRP)等の多剤耐性菌の感染症は、従来から大きな問題となっており、解決すべき重要な課題である。最近ではESBL産生菌やカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)も増加しており、わが国でもアウトブレイク事例が散見される。本研究では、国内医療機関でのそれらの多剤耐性菌の蔓延を防止するために内外の知見を集約し、個々の医療機関がマニュアルなどを作成する際に参考となる資料や指針を提供するものである。加えて、行政機関を含め地域連携ネットワークを通じて医療関連感染対策を実施するための支援ツールや今後のプランを提案する。
研究方法:
 目的完遂のために、@医療機関における薬剤耐性菌の現状についての検討、A医療機関における抗菌薬の使用実態に関する研究、B医療機関等における感染制御に関する研究、C薬剤耐性菌の疫学状況と感染制御に関する研究、D国民の薬剤耐性に関する意識についての研究をおこなった。  医療機関における薬剤耐性菌の現状についての検討では、MRSAおよびESBL産生菌を3ヶ月間、MDRP、CRE、アシネトバクター属、肺炎球菌は8ヶ月間検出された菌株を収集した。また、検体の種類などの情報についても収集した。  医療機関における抗菌薬の使用実態に関する研究および医療機関等における感染制御に関する研究では、調査票およびアンケートの作成を行った。  薬剤耐性菌の疫学状況と感染制御に関する研究では、国内の薬剤耐性菌の疫学状況として2014年9月〜2015年12月の感染症発生動向調査に基づいてCRE感染症及び MDRA感染症を調査した。また、海外のCRE, 多剤耐性アシネトバクター(MDRA)の疫学状況については、学術論文から調査して、地域的な多剤耐性菌の分布について検討した。  国民の薬剤耐性に関する意識についての研究では、全24問の『抗生物質に関するアンケート』を作成し、2017年3月17日〜21日にモニター(医療関係者は除いた)に対してインターネットアンケート調査を行った。
結果と考察:
 医療機関における薬剤耐性菌の現状についての検討では、1,006株の菌株を収集した。菌株としては、MRSA、肺炎球菌、ESBL産生菌、アシネトバクター属、CRE、MDRPの順で多かった。菌株の情報についても収集し、解析を行っている。また、収集した菌株については、薬剤感受性試験や遺伝子解析を行い、地域による流行株の違いについて検討する。  医療機関における抗菌薬の使用実態に関する研究では、注射用抗菌薬使用量サーベイラインスの具体的な調査表を決定した。また、医療機関等における感染制御に関する研究では、@微生物検査、A感染対策の実施内容、B積極的監視培養、C抗菌薬適正使用について、それぞれ質問を設け、合計16項目のアンケートを作成した。今後は、抗菌薬の調査票および感染制御のアンケートを調査対象の施設に送付し、詳細な解析を行う予定である。  薬剤耐性菌の疫学状況と感染制御に関する研究では、2015年の国内におけるCRE感染症の報告例が1,669例であり、死亡率は3.5%であった、感染症の発症部位としては、尿路感染症、菌血症・敗血症、肺炎の順で多かった。CREの菌種としては、Enterobacter cloacae、E. aerogenes、K. pneumonia、E. coliの順に多かった。また、海外文献情報の調査では、北米、欧州、南米のCREではKPCが多いが、アジアではNDM、OXA-48が主体であった。我が国のCREはIMPが主体であり、海外と我が国でCREは異なっていた。  国民の薬剤耐性に関する意識についての研究では、調査依頼した21,093人のうち3390人(16.1%)から有効回答を得られた。そのアンケート調査では、「風邪やインフルエンザに抗生物質は効果的だ」や「薬剤耐性とは、人が抗生物質に効きにくい体質や免疫、耐性をもってしまうことである」といった誤った知識をもった人が全体の40%程度存在することが明らかとなり、正しい知識を普及させる必要性があると示唆された。一方で、抗菌薬についての正しい情報を得た場合に抗菌薬への考え方が変容するということも明らかとなっており、一般国民に向けて正しい知識を普及啓発することで効果があると考えられた。
結論:
 我が国における薬剤耐性菌の検出状況および薬剤耐性菌感染症の現状が明らかとなった。今後は、抗菌薬の使用実態および感染制御の実態について更なる調査を行い、薬剤耐性菌と抗菌薬使用および感染制御との関連を明らかにする。また、国民への抗菌薬の正しい知識の普及が重要であることが判明したため、本研究の成果を医療機関で共有し活用するだけでなく、国民に向けた情報発信にも活用することが必要である。
公開日 2017年05月22日
研究報告書

ファイルリスト

公開日・更新日

公開日 2017年05月18日
更新日 -
収支報告書

文献情報

文献番号 201617008Z

報告年月日

報告年月日 2018年05月17日
 

収入

(1)補助金交付額 9,200,000円
(2)補助金確定額 9,200,000円
差引額 [(1)-(2)] 0円
 

支出

研究費(内訳) 直接研究費 物品費 4,454,088円
人件費・謝金 0円
旅費 787,579円
その他 2,064,333円
間接経費 454,000円
合計 7,760,000円
 

備考

備考  
 

公開日・更新日

公開日 2018年05月21日

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