概要版

文献情報

文献番号 201513001A
報告書区分 総括
研究課題 慢性の痛み診療・教育の基盤となるシステム構築に関する研究
課題番号 H27-痛み-指定-001
研究年度 平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関) 牛田 享宏(愛知医科大学 医学部学際的痛みセンター、運動療育センター(兼任)) 
研究分担者(所属機関) 山下 敏彦(札幌医科大学・医学部・整形外科教室)、矢吹 省司(福島県立医科大学・整形外科/リハビリテーションセンター)、木村 慎二(新潟大学医歯学総合病院・総合リハビリテ-ションセンタ−)、山口 重樹(獨協医科大学・医学部・麻酔科学講座)、加藤 実(日本大学・医学部・麻酔科学)、井関 雅子(順天堂大学・医学部・麻酔科学・ペインクリニック講座)、北原 雅樹(東京慈恵会医科大学附属病院ペインクリニック)、住谷 昌彦(東京大学医学部附属病院・緩和ケア診療部)、松平 浩(東京大学医学部付属病院・運動器疼痛メディカルリサーチ&マネジメント講座)、川口 善治(富山大学・医学部・整形外科・脊椎脊髄外科・疼痛外科)、中村 裕之(金沢大学・医薬保健研究域医学系・環境生態医学・公衆衛生学)、松原 貴子(日本福祉大学・理学療法学)、笠井 裕一(三重大学医学系研究科脊椎外科・医用工学講座 脊椎外科)、福井 聖(滋賀医科大学・医学部・麻酔科学)、柴田 政彦(大阪大学大学院・医学系研究科・疼痛医学寄付講座)、田倉 智之(大阪大学大学院・医学系研究科・医療経済産業政策学寄附講座)、西田 圭一郎(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科人体構成学・整形外科)、尾形 直則(愛媛大学大学院医学系研究科整形外科学)、田口 敏彦(山口大学大学院・医学系研究科・整形外科学)、横山 正尚(高知大学医学部・麻酔科学)、西尾 芳文(徳島大学大学院・ソシオテクノサイエンス研究部・情報ソリューション部門・計算機システム工学大講座)、細井 昌子(九州大学病院・心療内科)、門司 晃(佐賀大学医学部精神医学講座) 
研究区分 厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 慢性の痛み対策研究
開始年度 平成27(2015)年度
終了予定年度 平成29(2017)年度
研究費 42,200,000円
研究者交替、所属機関変更  

研究報告書(概要版)

概要版 研究目的:
人口の15%以上が慢性の痛みを有し、有効な医療が行われていないため、医療経済学的損失や社会損失を引き起こしている。これらは神経機能異常を含めた器質的な要因だけでなく、心理社会的な因子が関与していることがわかってきている。欧米諸国では各領域の専門家が集まって診断・治療を進める集学的(学際的)痛みセンターが構築され、慢性痛を生物心理社会概念で捉えた医療が行われ、良好な成績が得られることが報告されてきている。これまで厚生労働研究班では、本邦の医療システムに適合した慢性痛診療体制の構築を目的として、諸外国の取り組みや現状の問題点などを研究し、19施設で集学的慢性痛診療体制(チーム)による診断・治療介入を試行してきた。診断・評価ツールを開発し、病態の把握と認知行動療法的な面に重点を置いた介入・治療の効果について調査を進めてきた。その結果、難治性の疼痛症例においても個々の違いはあるものの、全体としては痛みの程度、生活障害度などの改善が有ることがわかってきた。しかし、縦割り医療の中で集学的な診療体制を構築し根付かせるためには、これらの診療システムの社会的有益性の検証や、どのような慢性痛患者について有効性が高いかの検証を行い、医療経済を含めて本邦の医療に適合するものを構築していく事が必要である。また、慢性痛は医療の問題にとどまらず社会の問題であり、慢性痛の問題点と対処法の普及啓発の促進を国民・患者に行っていくことが求められている。
研究方法:
19施設において集学的チームを構築し、チームタイプ別の介入の評価、ICD11(案)を用いた慢性痛分類の試行と評価、運動療法と教育・認知行動療法介入方法のBrushup、痛みセンターでのチームアプローチが有効な病態の解析(スイートスポット解析)、本診療システムの社会・医療経済への効果の調査、データ収集システムの構築・改良、国民・医療者への慢性痛の問題点と対処法の普及啓発の促進、HPVワクチン接種後の副反応患者に対する診療などを研究として行った。
結果と考察:
本研究班全体としての集学的チーム介入効果は介入後3か月で痛みの強さ、精神心理、QOL、ADL等の有意な改善を認めていた、これは6か月後も維持、治療満足度も高かった(2593例)。慢性痛の分類はICD11(案)の試行運用を行ったが、これまでの診断などと齟齬が生じることがあり運用を考える必要があると考えられた。診療施設の現状に沿って、独立ユニット型、兼任によるクリニック型(集中参加型)、兼任によるクリニック型(カンファレンスシートを用いた連携)、入院型などのアプローチを試行し、独立ユニット型については運用結果がまとめられた(J. Phys. Ther. Sci 27: 2901-2905, 2015)。運動療法と教育・認知行動療法介入方法のBrushupは、運動介入ツール「いきいきリハビリノート」を作成し講習を行った。また、治療プログラム(外来型、入院型:3週間)として集中的に教育・認知行動療法介入を行った結果、何れの方法も痛みの強さ、精神心理面、身体機能の改善効果を認めていた。スイートスポット解析では、痛みセンター治療は情動障害、破局的思考、運動に関連痛の強さとADL低下があるものが有効と分析された。他の医療資源との連携については、現時点では先ずはスイートスポットと絡めて代表研究者の診療施設周辺の慢性疼痛診療クリニックなどとの連携システムを構築してきている。医療経済的調査については、聞き取り調査をスタートし、次年度施行予定である。データ収集システムの構築は、Web問診システムのパイロット版の作成を行った。国民・医療者への慢性痛の問題点と対処法の普及啓発の促進としては国民・患者を対象とした市民公開講座、慢性痛医療者研修会の開催の支援、研究班のホームページの整理、患者教育用ツールをホームページで公開、また外来待合等で利用可能な患者教育用ビデオ制作、学生に対する痛み教育資材の構築を行った。HPVワクチン接種後に副反応を訴える患者の対応については、研究班として対応をしてきている。生物心理社会モデルとしての指導を行い多くのケースで何らかの症状の改善を得ることができた。
結論:
19施設で集学的・学際的痛みセンターの構築に取り組んできた。様々な形態での運用となっているが、ドクターショッピングを繰り返した患者についても、集学的な取り組みを行うことでNRS、ロコモ25、PDAS、HADS、PCS、EQ-5D、アテネ不眠尺度において有意な改善がみられており、本アプローチによる治療で慢性痛の改善が得られることが明らかにされた。今後は、集学的な痛みセンターが社会・医療界の中で果たす役割を確立していくための取り組みを進めていく必要がある。
公開日 2016年09月20日
研究報告書

ファイルリスト

公開日・更新日

公開日 2016年12月20日
更新日 -

収支報告書

文献情報

文献番号 201513001Z

報告年月日

報告年月日 2016年05月27日
 

収入

(1)補助金交付額 52,200,000円
(2)補助金確定額 52,200,000円
差引額 [(1)-(2)] 0円
 

支出

研究費(内訳) 直接研究費 物品費 6,845,933円
人件費・謝金 7,510,712円
旅費 8,752,322円
その他 19,076,125円
間接経費 10,000,000円
合計 52,185,092円
 

備考

備考 打ち合わせ時間の予定変更があり、旅費(日当及び宿泊費)について一部不要になったため戻入れをした。
 

公開日・更新日

公開日 2016年09月20日

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