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文献情報

文献番号 201450005A
報告書区分 総括
研究課題 薬物乱用頭痛における抑肝散の有効性の検討
課題番号  
研究年度 平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関) 荒木 信夫(埼玉医科大学 医学部) 
研究分担者(所属機関) 伊藤 康男(埼玉医科大学 医学部 )、光藤 尚(埼玉医科大学 医学部 )、三宅 晃史(埼玉医科大学 医学部 )、椎橋 実智男(埼玉医科大学 医学部 )、坂井 文彦(埼玉医科大学 医学部 )、鈴木 則宏(慶應義塾大学 医学部)、市倉 美峰(飯ヶ谷 美峰)(北里大学 医学部)、竹島 多賀夫(医療法人寿会 富永病院)、磯部 秀之(埼玉医科大学 医学部 )、荒井 啓行(東北大学 加齢医学研究所)、濱田 潤一(北里大学 医学部) 
研究区分 厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【委託費】 「統合医療」に係る医療の質向上・科学的根拠収集研究
開始年度 平成26(2014)年度
終了予定年度 平成26(2014)年度
研究費 3,800,000円
研究者交替、所属機関変更 分担研究者交替 濱田 潤一(平成26年4月〜平成27年2月18日)→飯ケ谷 美峰(平成27年2月18日以降)

研究報告書(概要版)

概要版 研究目的:
薬物乱用頭痛の基本的な治療法は、1.原因薬剤の中止、2.原因薬剤中止後に起こる頭痛への対応、3.予防薬の投与が現行のガイドラインに記載されているが、原因物質の服薬中止により1〜6ヵ月間は70%の改善が得られるが、長期予後では約40%で薬物乱用を再発する。また、薬物乱用頭痛の中にはいかなる治療へも抵抗性で、乱用を脱することのできない難治例が存在し、新たな治療戦略が必要である。  我々は、少数例ではあるが、薬物乱用頭痛の治療に難渋する患者さんに漢方薬の抑肝散を従来の予防薬に併用し、頭痛の著明な改善が認められた症例を経験した。抑肝散は、細胞外液グルタミン酸濃度の上昇を改善する作用があることから、バルプロ酸と同様の機序で片頭痛の予防薬としての作用が期待され、片頭痛の予防薬として有効な可能性がある。また、セロトニン神経系への作用が確認されており、特にベースが片頭痛の薬物乱用頭痛においては疼痛閾値の上昇や原因物質中止による不安を軽減することにより特に有効であると考えられる。 これらのことから抑肝散は、薬剤乱用頭痛の症状改善効果が期待できる。 そこで、薬物乱用頭痛に対する抑肝散の有効性を無作為二重盲検法で検討し、慢性頭痛ガイドラインの改訂に反映させるとともに、マウスを用いた基礎実験では抑肝散の神経保護作用の検討を行い、我が国の漢方薬の国際展開に向けた新たなエビデンスの構築を目的とする。
研究方法:
1.プロジェクトの総合推進 a.臨床試験に向けての準備  抑肝散の臨床研究の経験のある東北大学荒井による助言を得て、研究参加5施設でIRBの承認を取得する。埼玉医科大学においては臨床研究保険に加入する等の準備を行う。 b.二重盲検法試験の開始  抑肝散のプラセボ薬、パッケージ等の製造を株式会社ツムラに依頼し製造を開始した。 埼玉医科大学 椎橋により割付を行い、埼玉医科大学病院、慶應義塾大学病院、北里研究所病院、埼玉精神神経センター、富永病院の5施設に配送。10月より、二重盲検比較試験を開始する。追跡期間は8週間。 c.東洋医学的観点による検討  埼玉医科大学 磯部により、弁証論治ソフト等を用いて、東洋医学的観点からの「証」による検討を行った。 2.分子生物学的検討 a.抑肝散の神経保護作用の検討 埼玉医科大学伊藤・三宅により、神経保護作用の検討の為、マウスを用いた基礎実験を開始した。抑肝散を投与し虚血を行ったマウスのモデルにおいてNO、ヒドロキシラジカルの測定を行うとともに、組織免疫学的検討を行う。
結果と考察:
結果 1.研究に参加する5施設で倫理委員会への研究の申請を行い、承認を得た。 2.抑肝散のプラセボの作成を行い、割り付けを行った。倫理委員会を通過した施設から順次、発送を開始した。 3.薬物乱用頭痛に対する抑肝散の効果の検討を後方視的に行い、抑肝散が単独で薬物乱用頭痛に有効な可能性のあること、うつ病治療中の薬物乱用頭痛においても有効な症例があったこと、薬物乱用頭痛だけではなく、後頭神経痛にも有効な症例があったことを確認した。 4.抑肝散の効果の検討を目的とした漢方問診票を作成し、運用した。 5.動物実験に関してはコントロール群の作成を開始した。 これらの成果は第42回日本頭痛学会総会、第51回東洋心身医学会において、2014年8月東京大学、2015年2月東京有明医療大学で開催された2014年度統合医療合同班会議において発表を行った。 考察 二重盲検法を用いた薬物乱用頭痛に対する抑肝散の効果の検討の前段階として後方視的に抑肝散が薬物乱用頭痛をはじめとする頭痛疾患に有効なことが明らかとなった。しかし、いずれも少数例の経験であり、エビデンスを確立するためには、二重盲検法を用いた多数例での検討と、抑肝散の抗炎症作用や鎮痛作用を動物実験で明らかにする必要があると考えられた。
結論:
薬物乱用頭痛に抑肝散が有効である可能性が示唆された。その効果の確認の為に抑肝散とそのプラセボを用いた二重盲検法による検討が必要である。
公開日 2015年08月10日
研究報告書
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公開日・更新日

公開日 2016年05月13日
更新日 -

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