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文献情報

文献番号 201419089A
報告書区分 総括
研究課題 慢性疲労症候群の病因病態の解明と画期的診断・治療法の開発
課題番号 H25-神経・筋-一般-006
研究年度 平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関) 倉恒 弘彦(関西福祉科学大学 健康福祉学部) 
研究分担者(所属機関) 稲葉 雅章(大阪市立大学 代謝内分泌病態内科学)、近藤 一博(東京慈恵会医科大学 ウイルス学講座)、伴 信太郎(名古屋大学大学院医学系研究科健康社会医学専攻)、吉原 一文(九州大学九州大学病院)、野島 順三(山口大学大学院)、渡辺 恭良(独立行政法人理化学研究所ライフサイエンス技術基盤研究センター)、松本 美富士(東京医科大学)、局 博一(東京大学大学院農学生命科学研究科)、田島 世貴(社会福祉法人兵庫県社会福祉事業団兵庫県立リハビリテーション中央病院 子どもの睡眠と発達医療センター)、片岡 洋祐(独立行政法人理化学研究所ライフサイエンス技術基盤研究センター)、久保 充明(独立行政法人理化学研究所統合生命医科学研究センター)、山野 嘉久(聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター)、福田 早苗(大阪市立大学大学院医学研究科)、豊福 利彦(大阪大学大学院医学系研究科)、小泉 淳一(横浜国立大学大学院工学研究院) 
研究区分 厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 障害者対策総合研究
開始年度 平成25(2013)年度
終了予定年度 平成27(2015)年度
研究費 11,847,000円
研究者交替、所属機関変更  

研究報告書(概要版)

概要版 研究目的:
CFSの病因に直結したバイオマーカーを確立し、画期的な診断・治療法を開発する。
研究方法:
ア)脳分子動態解析 脳内炎症マーカーである [11C]PK-11195とポジトロンCT(PET)を用いて、慢性疲労症候群の脳内炎症像の検討を実施した。さらに、2014年度から新たにCFS患者と健常者を対象にPETとPK11195、DASB(脳内セロトニン神経に結合)を用いた解析を開始した。 イ)バイオマーカー探索 バイオマーカーに関しては健常者との比較を現在までに次の項目に関して検討を行った。評価項目:尿酸、尿素窒素、クレアチニンキナーゼ、ビリルビン、甲状腺ホルモン、クエン酸、微量元素(ナトリウム、カルシウム、亜鉛、リン、マグネシウム、マンガン)、高感度CRP、還元型・酸化型CoQ10、d-ROMs・BAP・OSI、粒子タンパク質、ミトコンドリアDNA、メタボローム解析、唾液中HHV-6、HHV-7など。 ウ)臨床研究  集学的治療チームにより、漢方治療、心理療法の治療効果について検討した。また、3CFS患者334例と健常人252例の血中におけるmRNA発現量匿名化データについて,特異度を高める方向での抽出法を考案し,患者群と健常人群で発現特異性の高い遺伝子群を抽出した。
結果と考察:
ア)脳分子動態解析 ポジトロンCT (PET)と[11C]PK-11195を用いてCFSの脳内炎症像を検討し、CFS患者群は視床、橋、延髄、扁桃体、海馬、帯状回において神経炎症が存在していることを世界で初めて明らかにするとともに、視床、中脳、扁桃体での炎症が強い場合は認知機能の障害が強く、帯状回や視床の炎症が強い場合は頭痛や筋肉痛などの痛みが、また海馬での炎症が強い場合は抑うつの症状が強いことを明らかにした。この研究成果を国際学術雑誌において発表したところ、米国におけるCFS研究の第1人者Komaroff教授(ハーバード大学)が発表した2014年におけるCFS関連世界10大発見の1つとして大きく取り上げられ、米国やヨーロッパのCFS患者を対象とした脳内炎症の共同臨床試験の検討を開始することとなった。さらに、2014年度から新たにCFS患者10名と健常者10名についてPETとPK11195、DASB(脳内セロトニン神経に結合)を用いた解析を開始し、中間解析の結果より視床、扁桃体、被殻、橋などでは神経炎症の程度とセロトニン神経活動の低下が有意に相関していることが明らかになってきた。このことは、CFS病態は神経炎症に伴う脳神経系機能の障害であり、PETとPK11195を用いて検査することによりCFSを客観的に診断することが可能であることを強く示唆している。 イ)バイオマーカー探索 2014年度はCFSに特化したバイオマーカーについて網羅的に探索を進める中で、PETを用いて評価した脳神経系の異常と関連する末梢血中等のバイオマーカーとして、炎症にかかわる成分Xを同定し(特許申請中)、CFSのスクリーニング検査として活用できる可能性もみつかってきた。酸化ストレス指標については、抗酸化力値BAPはカットオフ値2551.0μmol/Lで曲線下面積が0.82(感度75%,特異度75%)となり、診断的有用性が高いことが明らかになった。さらに、CFSにおけるミトコンドリアDNA (mtDNA) について検討したところ、mtDNA量は健常者に比較し優位に高値を示し、特に重症度と正の相関がみられることを見出した。細胞外へ放出されたmtDNAはDAMPsとして病的な免疫反応に寄与することが知られており、CFS病態に深く関与している可能性が高い。 ウ)臨床研究 臨床評価では、集学的治療チームの検討により抑うつと疲労の改善を図ることがQOL向上に効果的であった。また、各国の診断基準に該当する症状を検討したところ、起立不耐などの循環器系症状の取り扱いが重要であることも判明した。DNAチップ検査結果の再検討では、CFS患者において発現強度が高い遺伝子がいくつか明らかになってきた。  2015年2月、全米アカデミーの1つである米国医学研究所(IOM)より、CFS/MEに対する新たな疾病概念としてSEID(systemic exertion intolerance disease)が提唱された。CFS/MEは重篤な全身疾患であると位置づけ、その中核となる症状を整理してSEIDとして再定義したものである。そこで、平成27年度はSEIDの理念をも踏まえた科学的根拠に基づく診断基準の作成を行いたいと考えている。
結論:
CFSは神経炎症に伴う脳神経系機能の障害とともに、病的な免疫反応、全身のエネルギー代謝異常が関与しており、これらの客観的な指標を用いた診断、治療法の開発が可能となってきた。
公開日 2015年09月17日
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公開日・更新日

公開日 2016年01月22日
更新日 -

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