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文献情報

文献番号 201416001A
報告書区分 総括
研究課題 慢性の痛み診療の基盤となる情報の集約とより高度な診療の為の医療システム構築に関する研究
課題番号 H25-痛み-指定-001
研究年度 平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関) 牛田 享宏(愛知医科大学・医学部 学際的痛みセンター、運動療育センター(兼任)) 
研究分担者(所属機関) 山下 敏彦(札幌医科大学・医学部・整形外科教室)、矢吹 省司(福島県立医科大学・整形外科)、井関 雅子(順天堂大学・医学部・麻酔科学・ペインクリニック講座)、北原 雅樹(東京慈恵会医科大学附属病院ペインクリニック)、中村 雅也(慶応義塾大学・医学部・整形外科)、住谷 昌彦(東京大学医学部附属病院・緩和ケア診療部)、松平 浩(東京大学医学部付属病院22世紀医療センター・運動器疼痛メディカルリサーチ&マネジメント講座)、中村 裕之(金沢大学・医薬保健研究域医学系・環境生態医学・公衆衛生学)、松原 貴子(日本福祉大学・理学療法学)、福井 聖(滋賀医科大学、医学部、麻酔科学)、柴田 政彦(大阪大学大学院・医学系研究科・疼痛医学寄付講座)、田倉 智之(大阪大学大学院・医学系研究科・医療経済産業政策学寄附講座)、西江 宏行(岡山大学病院麻酔科蘇生科)、横山 正尚(高知大学教育研究部医療学系・麻酔科学)、細井 昌子(九州大学病院・心療内科・心身医学)、西尾 芳文(徳島大学大学院・ソシオテクノサイエンス研究部)、浅井 雅代(長久手市役所保健医療課)、木村 慎二(新潟大学医歯学総合病院・総合リハビリテ-ションセンタ−)、山口 重樹(獨協医科大学 医学部 麻酔科学講座)、加藤 実(日本大学医学部 麻酔科学系麻酔科学分野)、川口 善治(富山大学医学部整形外科)、笠井 裕一(三重大学医学系研究科脊椎外科・医用工学講座)、長櫓 巧(国立大学法人 愛媛大学大学院医学系研究科麻酔・周術期学)、田口 敏彦(山口大学大学院・医学系研究科・整形外科学)、園畑 素樹 (佐賀大学医学部整形外科) 
研究区分 厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 慢性の痛み対策研究
開始年度 平成25(2013)年度
終了予定年度 平成26(2014)年度
研究費 34,200,000円
研究者交替、所属機関変更  

研究報告書(概要版)

概要版 研究目的:
これまでの研究で、難治性の疼痛疾患については、神経機能異常を含めた器質的な病態に加えて心理・社会的な因子が関与していることが明らかとなっている。その為、欧米諸国では各領域の専門家が集まって診断・治療を進める集学的(学際的)痛みセンターが構築され、旧来の単科によるアプローチから、概念を広げた生物心理社会モデルに基づいた医療が行われてきた。当研究班では、本邦の医療システムに適合した集学的慢性痛治療体制を検討していく事を目的として、専門家を集結させ、諸外国の取り組みの整理や現状での問題点などを検討してきた。平成26年度は、痛みの程度、生活障害度などこれらに加えて医療費および医療経済面も加えた調査を行う。また、難治性慢性痛の現状評価とそれらに対する特異的介入(特に運動療法)も行い、集積・分析した情報は将来の治療にフィードバックするほか、地方自治体、NPO法人いたみ医学研究情報センター、他の慢性痛研究班及び関連学会と協力し、医療者、市民に配信して慢性痛の問題の啓発を行うことを目的とする。また、HPVワクチンの診療については、早期に若い患者達を社会に返していくことを目的とする。
研究方法:
診療体制の整備として18施設の体制を目指す。共通問診・評価ツールによる治療効果分析。昨年度作成した患者の器質的要因、精神・心理的要因、社会的要因を評価するための共通質問票を使用する。慢性痛の評価法に関する研究として、ストレス尺度と唾液アミラーゼの研究、慢性痛における脳のボリューム解析、Fear avoidance modelに対する睡眠障害の追加の検討、日本語版STarT Backスクリーニングツールの計量心理学的検討をする。 痛みセンターの社会的な立ち位置の研究として、 Delphi法を用いた集学的痛みセンターでの治療がふさわしい患者像に関する研究、痛みセンターにおける治療と医療費の調査、費用対効果に関する研究。慢性痛に対する介入の評価として、認知行動的集団プログラム介入(慢性痛教室)を行う。HPVワクチン対応については、検査で器質的な要因などを分析しつつ、認知行動療法的な指導などを行う診療をする。
結果と考察:
現時点で、17施設でチーム構成を作成できた。残り1施設についても、平成26年12月初旬の段階で、チーム構築の見通しがついてきたところである。その中で、チームカンファレンスは週1回以上できている施設が5施設となっており、現状の医療体制の中では、母体となっている診療科の縛りが強く、専任をおきにくいこともあってインターディシプリナリータイプの構築が困難であるという課題が明確化してきている。チームで診療にあたった際の治療効果については、平均4施設を巡って症状の改善についての満足が得られず、診療をすることになった患者においても、全ての項目で有意に改善していることが確認された。どのようなケースを痛みセンターで診ていくべきかということについてDelphi法で検討を行った。その結果は@背部痛、A基礎疾患の重症度と痛みの乖離が大きい、Bオピオイドの使用、C過去の治療に対する満足度が低いものが上がってきている。疫学研究から、運動器慢性痛は40-50歳代から増加する傾向があり、早期からのアプローチが必要であること、心理的な要因が大きい慢性痛については被養育体験が関与していることが明らかとなった。HPVワクチンの診療については、痛みについてはHPVワクチンがトリガーとなった可能性が否定出来ない場合でもおよそ60%が症状の改善が得られた。
結論:
現在まで開発してきた集学的なチーム医療体制のもとで診療を行うことで、旧来の治療で改善が得られなかった患者群でも、痛みの改善、痛み関連行動の改善、満足度が改善することが400例以上の3ヶ月フォローの結果から明らかになった。また、更にこれらの治療で改善し得なかった症例を中心に行った認知行動的集団プログラム介入(慢性痛教室)では、PDAS、身辺作業は効果量大であることがわかった。2施設のデータからこのシステムの費用対効果をQALY(質調整生存年)を用いて定量的に評価すると、重症化された群に対しての集学的介入は、薬物療法よりも効果的であることが確認された。どのような患者を痛みセンターとしての医療システムで取り扱うべきかについての研究では、痛みセンターは難治性で非常に多くの経費が使われている患者に導入することは非常に有益であることがわかった。ただ、非常に多くの専門家を動員して進めていることも有り、そのチームシステム作りについて更に検討を進めていく必要がある。
公開日 2015年06月26日
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公開日・更新日

公開日 2016年05月13日
更新日 -

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