概要版

文献情報

文献番号 201328009A
報告書区分 総括
研究課題 地域医療における薬剤師の積極的な関与の方策に関する研究
課題番号 H23-医薬-一般-013
研究年度 平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関) 今井 博久(国立保健医療科学院 ) 
研究分担者(所属機関) 佐藤 秀昭(医療法人社団明芳会イムス三芳総合病院 薬剤科)、富岡 佳久(東北大学大学院 薬学研究科)、土屋 文人(国際医療福祉大学 薬学部)、賀勢 泰子(医療法人久仁会鳴門山上病院 薬剤部)、棗 則明(医療法人社団誠馨会 総泉病院 薬剤部)、源川 奈穂(日本電気(株) 健康管理センタ− 産業保健サポートセンター)、大倉 輝明(医療法人社団和光会総合川崎臨港病院 薬剤科)、武藤 浩司(医療法人知命堂病院 薬剤科)、庄野 あい子(明治薬科大学 公衆衛生疫学教室)、恩田 光子(大阪薬科大学 臨床実践薬学 薬剤疫学) 
研究区分 厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
開始年度 平成23(2011)年度
終了予定年度 平成25(2013)年度
研究費 9,700,000円
研究者交替、所属機関変更  

研究報告書(概要版)

概要版 研究目的:
市中の診療所、病院、保険薬局など地域医療を支える医療機関における「薬剤師の本質的な機能」を検討し、一定の成果が得られた。研究目的は、定量的なデータを使用した実証研究によるエビデンス(科学的な根拠)を得るである。超高齢社会を迎えて地域医療における薬剤師が果たすべき本質的な役割を明確に示し実践的な職能を同定することである。(1)処方変更による臨床アウトカムの変化、(2)入院時持参薬管理への薬剤師の薬物療法の管理機能、(3)在宅医療における薬剤処方の実態と薬剤師の積極的な役割の3つを中心に研究を展開した。
研究方法:
(1):成人で慢性疾患として糖尿病、脂質異常症、高血圧等と診断され、投与期間が長期間(30日以上)処方された患者を対象に設定し、処方変更が有った場合の臨床アウトカムと無かった場合の臨床アウトカムを比較した。 (2):ある急性期病院の病棟薬剤業務を実施した患者225人の「病棟薬剤業務シート」を調査資料とした(シートの患者は平成25年9月1から9月30日に退院した患者)。1) 患者の基本情報:退院患者の入院診療科、年齢、性別、入院時診断名、既往歴、持参薬の有無を調査した。2) 入院時患者の検査所見:退院患者の入院時の肝機能検査値、腎機能検査値、電解質について調査した。3) 処方医へ薬剤師の情報提供とその内容:持参薬鑑別シートと医師への情報提供及び処方提案シートから処方医へ情報提供した事例を抜粋した。 (3):1次スクリーニングを経て、在宅医療における薬剤師の訪問業務を実施している保険薬局を対象に全国規模の調査を行った。訪問業務によるアウトカム指標として、服薬アドヒアランスの変化、残薬量の変化、有害事象(Adverse Drug Events: 以下ADE)等の発見・対処・改善の有無、処方内容の変更(特に、禁忌・重複・相互作用、漫然投与、アドヒアランス不良等に起因する問題の是正を意図したもの)などを尋ねた。
結果と考察:
(1):1)血圧値:処方変更なしの場合には収縮期血圧は-0.10mmHgの変化であったが、処方変更ありの場合は-3.30mmHg変化であった。統計学的に有意な変化であった。2)血糖値(HbA1c):処方変更なしの場合にはHbA1cは-0.26%の変化であったが、処方変更ありの場合は-0.51%の変化であった。統計学的に有意な変化であった。3)LDL値:処方変更なしの場合にはLDL値は-3.70mg/dlの変化であったが、処方変更ありの場合は-6.37mg/dlの変化であった。統計学的に有意な変化ではなかった。 (2):病棟薬剤業務を実施した退院患者 225人中179人(80%)が持参薬を有していた。入院診療科ごとの持参薬の有る患者数と無い患者数を比較した結果、持参薬の有る患者の診療科は総合内科、脳外科、整形外科、泌尿器科、消化器外科、外科で、逆に持参薬の無い患者の診療科は整形外科、消化器外科であった。入院時持参薬の有無と肝機能の関係では、TP, ALBの異常値を示した入院時持参薬の有る患者は各30%で、持参薬の無い患者の7%、12%であった。次に、入院時持参薬の有無と腎機能では、入院時持参薬の有る患者と無い患者との腎機能検査値を比較した結果、BUN, CR(男、女)の異常値を示した入院時持参薬の有る患者は各28%, 40%, 35%であった。持参薬の無い患者は18%、26%, 13%であった。入院時持参薬の有無と血清電解質では、血清電解質のNa, K, Cl, Ca値の異常値を示した入院時持参薬の有る患者は27%, 16%, 23%, 29%であった。持参薬の無い患者は13%、13%, 13%, 9%であった。 (3):最も重要な知見は、薬剤による有害事象の存在率、その内容、薬剤師による有害事象の改善である。すなわち、在宅医療における薬剤師の積極的な介入により、臨床アウトカムが改善していたことが明らかにされた点である。4つのアウトカム指標において良好な結果が示されたが、とりわけ「薬剤による有害事象の有無と対処」で薬剤師の訪問業務による「改善:88.1%」、「問題点の是正を意図した処方変更」による「改善:92.4%」は、医師と薬剤師の連携による有意義な機能を示唆している。
結論:
 超高齢社会では、高齢者の医療需要は急速に増加し、その多くが慢性疾患で薬物療法が中心になるため、地域の薬剤師が従来からの固定した役割から脱却し「適切な薬物療法の管理」という専門的な職能を発揮できる地域医療システムを構築しなければならない。薬剤師が担う機能を明確にし、どのような位置付けの役割を果すのか理論的に整理される必要がある。3年間の実証研究により「薬剤師の本質的な機能」を明らかにした。
公開日 2016年06月02日
研究報告書

ファイルリスト

公開日・更新日

公開日 2015年03月02日
更新日 -

ファイルリスト

公開日・更新日

公開日 2018年06月08日
更新日 -
収支報告書

文献情報

文献番号 201328009Z

報告年月日

報告年月日 2017年06月20日
 

収入

(1)補助金交付額 9,700,000円
(2)補助金確定額 9,698,633円
差引額 [(1)-(2)] 1,367円
 

支出

研究費(内訳) 直接研究費 物品費 369,420円
人件費・謝金 3,033,694円
旅費 1,403,180円
その他 4,892,339円
間接経費 0円
合計 9,698,633円
 

備考

備考 経費節約のため
 

公開日・更新日

公開日 2018年06月21日

▲このページのTOPへ