概要版

文献情報

文献番号 201323006A
報告書区分 総括
研究課題 慢性の痛み診療の基盤となる情報の集約とより高度な診療の為の医療システム構築に関する研究
課題番号 H25-痛み-指定-001
研究年度 平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関) 牛田 享宏(愛知医科大学・医学部 学際的痛みセンター、運動療育センター(兼任)) 
研究分担者(所属機関) 山下 敏彦(札幌医科大学・医学部・整形外科教室)、矢吹 省司(福島県立医科大学・整形外科/リハビリテーションセンター)、井関 雅子 (順天堂大学・医学部・麻酔科学・ペインクリニック講座・)、北原 雅樹 (東京慈恵会医科大学附属病院ペインクリニック)、中村 雅也(慶応義塾大学・医学部・整形外科・脊椎外科)、竹下 克志(東京大学医学部附属病院、整形外科)、松平 浩 (関東労災病院勤労者筋・骨格系疾患研究センター・整形外科)、中村 裕之(金沢大学・医薬保健研究域医学系・環境生態医学・公衆衛生学)、松原 貴子(日本福祉大学,理学療法学)、福井 聖 (滋賀医科大学、医学部、麻酔科学)、柴田 政彦(大阪大学大学院・医学系研究科・疼痛医学寄附講座)、田倉 智之(大阪大学大学院・医学系研究科・医療経済産業政策学寄附講座)、西江 宏行(岡山大学病院麻酔科蘇生科)、横山 正尚 (高知大学教育研究部医療学系・麻酔科学)、細井 昌子 (九州大学病院・心療内科)、西尾 芳文 (徳島大学大学院・ソシオテクノサイエンス研究部)、浅井 雅代(長久手市役所保健医療課) 
研究区分 厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 慢性の痛み対策研究
開始年度 平成25(2013)年度
終了予定年度 平成26(2014)年度
研究費 35,000,000円
研究者交替、所属機関変更  

研究報告書(概要版)

概要版 研究目的:
通常の診療システムで治らない痛みの課題を解決するためには、痛みについて専門性を持って最終な診療機関として見落としなく器質的診断・分析し、同時に心理社会的な診断・分析した上で集学的に系統だって治療方針を決めることが出来るInterdisciplinaryな“痛みセンターシステム”を構築し、その有用性を研究していくことが目的である。
研究方法:
@異なる職種職域の専門家を同じユニットに集結させ、機能的な慢性痛医療体制を作っていくことを目標としスタッフを構成する。そして、集学的多職種カンファレンスによる分析と多角的な治療の運営を行う。A痛みセンター連絡協議会(参加11施設)で同時に導入できる器質的要因の評価、精神・心理因子の評価、社会因子の評価、痛みに伴う生活障害の評価の設定を行う。Bデータ収集システムとデータベースシステムの構築および分析システムの開発:タブレット端末による評価システム入力支援ツールを作成し、更に多角的に分析した情報や診療経過を視覚的に表示し、医療者・患者にわかりやすく説明できるツールを作成する。C痛みセンターが必要とされる患者の基準の作成する。D集学的痛み治療チームによる多角的治療アプローチの治療効果の評価疼痛関連の諸要因の経過、医療費や医療資源の使用状況について調査する。Eターゲットを絞った疫学調査 志賀町(石川県)と久山町(福岡県)で自治体と協力した疫学調査、第三者行為についての調査を行う。F基礎研究 マウス神経障害性疼痛モデルに対する抗IL-6受容体抗体(MR16-1)の有効性を明らかにする為に第5腰髄神経を結紮切断し神経障害性疼痛モデルを作製した。G子宮頸がんワクチン接種後の痛みについての対応 “ワクチン接種後の痛みに困っている少女たちが社会復帰していく後押しをすること”を目的とすることとした。
結果と考察:
慢性痛は運動器の痛みとして発症することが多く、運動器の治療経過や予後について理解し判断できる専門家が参加することは必須と考えられる。精神心理的な問題が慢性の痛みに関係することについて、自らの気持ちを言葉で表現しにくい心理特性である失感情症がある場合に腰痛や筋肉痛の有病率が高いことが研究で判ってきている。今年度の地域一般住民における研究では、慢性痛を有する人は睡眠障害を有するリスクが有意に高く、このことが低いケア/高い過干渉の被養育体験により強い事がわかった。慢性痛にともなう睡眠障害を治療する際にも、単に不眠=睡眠導入剤などと考えるのではなく、心理社会的因子である被養育体験まで広げて考える必要がある。今回の研究で作成した共通質問票は、器質的要因、精神・心理的要因、社会的要因を評価できるようになっている。iPadで使用することにより抜けのない回答が得られることも明らかとなった。一方で、これらは各施設で集めたデータを分析すると同時に、説明資料や治療経過説明に使うことが出来るシステムを構築する必要がある。また、個人情報を除いた特定の情報を集約させ集学的なアプローチが旧来の診療体系に比べて医学的、医療経済的に有効性が高いことを示していく必要があるものと考えられる。更に、慢性痛が前述のように器質的な問題にとどまらず心理社会的な影響を大きく受け、多くの人々の問題となっていること、その対策は医学生物学モデルだけでは対応できない部分もあることについて、これまで集積したデータ、過去の論文などを総括して国民に広く知ってもらうことを早急に進める必要があると考えられる。
結論:
痛みセンター連絡協議会において、運動器の診療の専門家、神経機能管理の専門家、精神・心理専門家が連携して診療に当たるチームを構成が出来た。また、慢性痛の病態を評価するための共通診断評価ツールを用いての診療が可能となった。痛みセンターシステムによる治療アプローチの結果、BPI、ロコモ25、PDAS、HADS、PCS、EQ5D、アテネ不眠尺度において有意な改善がみられており学際的アプローチによる治療で慢性痛の改善が得られる可能性が示唆された。疫学研究からは慢性痛について40-50歳代からアプローチする必要が有ること、被養育体験が慢性痛に影響していることが明らかにされてきている。集学的(学際的)痛みセンターの構築と同時に地域との連携、NPO痛み医学研究情報センターを通じた情報発信など慢性痛の予防の為の啓蒙啓発も進めていく必要があるものと考えられた。
公開日 2015年06月29日
研究報告書

ファイルリスト

公開日・更新日

公開日 2015年02月25日
更新日 -

収支報告書

文献情報

文献番号 201323006Z

報告年月日

報告年月日 2013年09月22日
 

収入

(1)補助金交付額 44,000,000円
(2)補助金確定額 44,000,000円
差引額 [(1)-(2)] 0円
 

支出

研究費(内訳) 直接研究費 物品費 16,508,116円
人件費・謝金 4,909,517円
旅費 5,016,848円
その他 8,565,519円
間接経費 9,000,000円
合計 44,000,000円
 

備考

備考  
 

公開日・更新日

公開日 2015年06月26日

▲このページのTOPへ