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文献情報

文献番号 200200986A
報告書区分 総括
研究課題 特定保健用食材の安全性及び有用性に関する研究
課題番号  
研究年度 平成14(2002)年度
研究代表者(所属機関) 花田信弘(国立保健医療科学院・口腔保健部) 
研究分担者(所属機関) 今井 奨(国立保健医療科学院・口腔保健部),高橋信博(東北大学大学院歯学研究科),稲葉大輔(岩手医科大学歯学部),岸 光男(岩手医科大学歯学部) 
研究区分 厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品・化学物質安全総合研究
開始年度 平成13(2001)年度
終了予定年度 平成15(2003)年度
研究費 9,500,000円
研究者交替、所属機関変更  

研究報告書(概要版)

概要版 研究目的:
【目的】 口腔領域における特定保健用食品の承認の判定は、キャンディー・ガムについては確立しているが、その他の菓子類については評価の基準があいまいで、マニュアル化された方法がない。キャンディー・ガムについても、ヒト口腔に装着した微小pH電極による評価システムが使われている。ヒトを用いる方法は、莫大な費用がかかるばかりでなく、年齢差、個体差が大きく完成された評価システムとはいえない。また、ヒトの歯の表面のpHを測定するだけでは、複雑な口腔細菌叢の動きを正確に捉えることが要求される細菌の定着阻害剤や増殖阻害剤の有効性の評価は行うことができない。また、歯周病など他の口腔疾患を予防する機能性食品の判定はできない。さらに、エナメル質再石灰化促進物質を含むような新しい機能性食品の評価もできない。 これらの問題に厚生労働省が対応するには現在の評価方法を大きく見直す必要がある。この問題を将来的に解決するために我々はこれまで従来の方法の見直しと人工口腔装置による評価方法および再石灰化評価方法について検討してきた。本研究ではこの人工口腔装置の実用化を目指すと共に、従来方法の改良と新しい再石灰化評価方法の確立を目的とする。
研究方法:
【方法】 人工口腔装置は2つの人工口腔と恒温槽、pHメーター、ローラーポンプ、冷却撹拌器から構成されている。人工口腔は透明色の塩化ビニール製で直径60mm、高さ140mmの円柱型とした。周囲をウォータージャケット(直径140mm)で囲み、恒温槽からウォータージャケットに温水を還流することにより人工口腔内部を37℃に維持した。人工口腔の上部に5本のステンレスチューブと温度計を付けたシリコン栓を、下部には逆さにした平面pH電極と排水管を付けたシリコン栓をそれぞれ装着した。平面pH電極周囲に直径24mmのテフロン製ホルダーをシリコンゴムによって固定し、ホルダー上面に4枚のウシ・エナメル質切片をユーティリティワックスを用いて電極面と同一平面上になるように固定した。上部のステンレスチューブにはシリコンチューブを接続し、糖質溶液、細菌懸濁液(S. mutans およびS. sobrinus)、培地をローラーポンプによって連続的に滴下(6ml/hr/チューブ)して、各試料が平面pH電極およびエナメル質切片上に混在しながら貯留し、流れ落ちるように固定した。実験中、各試料は冷却撹拌器によって低温に保たれた。また、2つある人工口腔の1つを実験群、もう1つを対照群として同時に稼動した。試験糖液としてリン酸化オリゴ糖のカルシウム塩(POs-Ca)および甘味二糖類であるキシロシルフルクトシド(XF)を、対照糖液としてスクロースを用いた。実験前後のエナメル質硬度を測定し、脱灰度の指標とした。 pH微小電極内蔵法を補う簡便な食品酸産生評価法の検討のため、単一う蝕原性細菌S. mutansあるいはヒト歯垢を用いた簡便な酸産生性評価法を構築した。単一のS. mutans を用いる場合には、糖質あるいは食品抽出液含有培地で培養し、pHの変動を記録した。一方、歯垢サンプルの場合には、採取した歯垢を緩衝液に懸濁し、糖質あるいは食品抽出液を加えてpH低下を記録した。 エナメル質再石灰化評価のため、ヒト刺激全唾液を利用したin vitroでの再石灰化試験(ヒト唾液浸漬試験;human saliva immersion (HSI) test )を開発し,その有用性を検討した。被検物質としてin vitroで再石灰化促進効果を確認済みの馬鈴薯澱粉由来リン酸化オリゴ糖のカルシウム塩(POs-Ca)を用い,このPOs-Caを含有したシュガーレスガムを噛んだ際の分泌唾液を収集し、エナメル質の再石灰化に対する影響を調べた。すなわち,同意が得られた健常成人12名を被験者として、2.5%POs-Ca含有キシリトールガム,またはPOs-Ca非含有のキシリトールガム(コントロール)を噛んだ際の全唾液を採取した。被検試料には予め脱灰したウシエナメル質ディスクを用いて、採取した唾液に20分間浸漬し、浸漬終了後直ぐに水洗した。この処理を1日4回,連続4日間繰り返した。ついで,マイクロラジオグラフを撮影し,ミネラル指標として脱灰深度ld(μm)とミネラル喪失量△Z(vol%.μm)を計測した。
結果と考察:
【結果】 人工口腔装置を用いてPOs-Caのう蝕誘発性をエナメル質硬度変化量(ΔH)を指標として評価した結果、1%POs-Ca単独でのΔHは極低値で、対照(1%スクロース)に比べて有意に低かった。また、1%スクロース+5%POs-Ca共存下でもΔHは対照(1%スクロース)のΔHよりも有意に低かった。これらからPOs-Ca自身のう蝕誘発性は極低く、また、スクロースのう蝕誘発性を部分的に抑制することが示唆された。 同様に、ミュータンスレンサ球菌のglucosyltransferase阻害剤として知られるXFについても、人工口腔装置を用いて検討した。1%XF単独でのΔHは極低値で、対照(1%スクロース)に比べて有意に低かった。また、1%スクロース+2.5%XF共存下でもΔHは対照(1%スクロース)のΔHよりも有意に低かった。この結果からXF自身のう蝕誘発性は極低く、また、スクロースのう蝕誘発性を部分的に抑制することが示唆された。POs-CaおよびXF単独についてのin vitroでのpH試験、また、ヒト被験者でのpH微小電極内蔵法による試験も人工口腔装置の結果を指示している。 pH微小電極内蔵法を補う簡便な食品酸産生評価法構築のため、S. mutansあるいはヒト歯垢を用いて検討した。その結果、、単一細菌では、培養する培地に含まれる糖質の種類によって糖質からの酸産生能が大きく変動し、歯垢内での細菌の培養環境(とくに供給される糖質の種類と頻度)が不明である現段階では、この方法の酸産生評価法への応用は困難であることが確認された。一方、採取したヒト歯垢を懸濁し、それに糖溶液や食品水溶液を加えpH低下を見る方法は妥当であると判断された。しかし、ヒト歯垢の持つ個人差と保存の困難さからくる再現性および均質性の問題、そして唾液など実際の口腔内で歯垢pHに影響を与える因子の考慮等、今後さらなる検討が必要である。 ヒト唾液浸漬試験によるエナメル質再石灰化試験法について検討した。POs-Ca含有ガム処理群では、ld,△Zがコントロール群のldおよび△Zに比べて有意に低値で(P<0.001),明らかな再石灰化作用が確認された。採取した唾液の分析から,このPOs-Caの再石灰化促進効果は、ガム咀嚼によって唾液分泌が促され,微アルカリ(7.0〜7.5)となった唾液pH領域において,カルシウム(Ca)のイオン状態がPOs-Caにより維持された結果,Ca/P比が再石灰化に最適なハイドロキシアパタイトの比率(1.67)付近にまで上昇したことによると考えられた。同じガムを用いた口腔内実験でも,同様の結果が得られたことから,HSIテストは,食品の再石灰化促進機能の評価に有用であることが示唆された。 今後はそれぞれの試験法の検討をさらに重ね、総合して機能性食品の機能評価のためのマニュアル作成を目指す。
結論:
 
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