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文献情報

文献番号 200100904A
報告書区分 総括
研究課題 特定保健用食材の安全性及び有用性に関する研究(総括研究報告書)
課題番号  
研究年度 平成13(2001)年度
研究代表者(所属機関) 花田信弘(国立感染症研究所) 
研究分担者(所属機関) 今井 奨(国立感染症研究所),高橋信博(東北大学大学院),稲葉大輔(岩手医科大学),岸 光男(岩手医科大学) 
研究区分 厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 生活安全総合研究事業
開始年度 平成13(2001)年度
終了予定年度 平成15(2003)年度
研究費 10,000,000円
研究者交替、所属機関変更  

研究報告書(概要版)

概要版 研究目的:
口腔領域における特定保健用食品の承認の判定、特にキャンディー・ガムの判定についてはマニュアルが作成されているが、その他の菓子類については評価の基準があいまいでマニュアル化された方法がない。キャンディー・ガムについてもヒト口腔におけるプラークpHテレメトリー法とin vitroシステムが使われているが、両システムとも改良を要する点があり完成された評価システムとはいえない。また、ヒトの歯の表面のpHを測定するだけでは、複雑な口腔細菌叢の動きを正確に捉えることが要求される細菌の定着阻害剤や増殖阻害剤の有効性の評価は行うことができない。また、歯周病など他の口腔疾患を予防する機能性食品の判定はできない。さらに、エナメル質再石灰化促進物質を含むような新しい機能性食品の評価もできない。これらの問題に対応するには、現在の評価方法を大きく見直す必要がある。本研究は、上記の問題点を将来的に解決するため、従来のin vitroシステムとヒトでのプラークpHテレメトリー法につき再検討すること、人工口腔装置の実用化のための検討を種々行い、本装置を用いた評価系を確立すること、エナメル質再石灰化促進機能の評価系を確立すること、そして、これらの成果を基に新しい有効性評価マニュアルを作成し、健康づくりに役立つ新しい機能性食品の開発を促すことを目的とする。
研究方法:
プラークpH測定法に関しては、プラークpHテレメトリー法が最も厳密で優れた方法であることに異論はないものの、@被験者の確保が困難、A被験者の負担大、B測定者の負担大、C測定システムが高価などの問題があるため、これまでに行われてきたプラークpHテレメトリー法を例として現状を分析し、その長所と短所を検討した。in vitroシステムの検討のためには、ミュータンスレンサ球菌およびヒト唾液サンプルを用いた食品の酸発酵試験、非水溶性グルカン合成試験を行い、その評価系としての可能性を検討した。また、本研究のために作製した人工口腔装置は、人工口腔部分、送液用ポンプ、恒温槽、冷却撹拌器、pHレコーダから構成されている。人工口腔部分の平面pH電極周囲にはテフロン製ホルダーを固定し、そのホルダーにウシエナメル質歯片を固定した。その上部からスクロース含有培地、ミュータンスレンサ球菌懸濁液を連続的に滴下した。人工バイオフィルム量、バイオフィルム下pH、エナメル質の脱灰度を定量、評価した。さらに、エナメル質再石灰化評価法に関しては、歯質ミネラル濃度分布の評価方法を標準化するため、マイクロラジオグラフ(顕微X線写真)のデジタル画像定量法を構築し、その特性を検討した。また、人工口腔装置で形成した人工プラーク下のエナメル質にどのような脱灰病巣が生じるのかをミネラル画像定量法で評価するとともに、ミュータンスレンサ球菌標準株由来の人工プラーク形成にともなうエナメル質脱灰状態の再現性を検討した。
結果と考察:
これまでの研究報告、検定期間での実績から、プラークpHテレメトリー法(電極内蔵法)がプラークpH測定の最も厳密で優れた方法であることに異論はない。しかし、今後、特定保健用食材を普及させていくためには、できるだけ多くの食品を、できるだけ簡便に、かつできるだけ安価に検定する必要がある。この点から、プラークpHテレメトリー法は将来において何らかの工夫を要する。例えば、プラークpHテレメトリー法の高コストを補う簡便法の開発、あるいはプラークpHテレメトリー法を効率的に行う専門の検定機関の設置などが必要と思われる。in vitro試験としてのミュータンスレンサ球菌培養試験により 糖質の酸発酵性、非水溶性グルカン合成を評価する場合、培養時の嫌気条件を常に同一にすれば、その嫌気度による影響は無視しうると考えられた。また、唾液に糖質を添加してその酸発酵性、非水溶性グルカン合成を評価する場合、採取後4時間程度冷蔵保存した後行うのが適当であると考えられた。また、唾液中の多糖体はほとんどが不溶物に含まれて存在しており、評価対象に応じた前処理が必要であることが示唆された。今後、ソルビト-ルを陰性対照に使うことの是非も含めさらに検討を要する。また、う蝕誘発と深い関わりをもつ3つのパラメーター(人工バイオフィルム量、バイオフィルム下pH、エナメル質硬度)を同時に測定できる人工口腔装置を構築し、スクロースとミュータンスレンサ球菌の共存下で初期段階のエナメル質脱灰を惹起する条件を設定した。オリゴ糖のう蝕原性評価における本装置の有用性が示唆されたが、評価系として確立するにはなお検討を要する。さらに、顕微X線写真法による歯質ミネラル濃度分布評価方法を標準化するため、簡便かつ汎用性および再現性の高いミネラル画像定量法を構築し、必要なソフトウエアを開発した。本法は脱灰・再石灰化を定量的に評価するための標準法として応用が可能と考えられた。この方法を用いて人工口腔装置で形成した人工プラーク下のエナメル質脱灰病巣の再現性を検討した結果、エナメル質の脱灰に関して実用上妥当な再現性を有し、溶解型の人工初期う蝕が形成されることが確認された。各種食品の再石灰化促進効果の試験のためには、人工プラーク形成期間を短縮して表層下脱灰を形成するなど、なおいくつかの検討を要すると考えられた。
結論:
プラークpHテレメトリー法は将来において、高コストを補う簡便法の開発や、本法を効率的に行う専門の検定機関の設置など何らかの工夫を要すると思われた。in vitro試験としてのミュータンスレンサ球菌培養試験により糖質の酸発酵性、非水溶性グルカン合成を評価する場合、培養時の嫌気条件を常に同一にすれば、その嫌気度による影響は無視しうると考えられた。また、唾液に糖質を添加してその酸発酵性、非水溶性グルカン合成を評価する場合、採取後4時間程度冷蔵保存した後行うのが適当であると考えられた。う蝕誘発と深い関わりをもつ3つのパラメーター(人工バイオフィルム量、バイオフィルム下pH、エナメル質硬度)を同時に測定できる人工口腔装置を構築し、スクロースとミュータンスレンサ球菌の共存下で初期段階のエナメル質脱灰を惹起する条件を設定した。オリゴ糖のう蝕原性評価における本装置の有用性が示唆されたが、評価系として確立するにはなお検討を要する。顕微X線写真法による歯質ミネラル濃度分布評価方法を標準化するため、簡便かつ汎用性および再現性の高いミネラル画像定量法を構築し、必要なソフトウエアを開発した。この方法を用いて人工口腔装置で形成した人工プラーク下のエナメル質脱灰病巣の再現性を検討した結果、エナメル質の脱灰に関して実用上妥当な再現性を有し、溶解型の人工初期う蝕が形成されることが確認された。本方法においてもなおいくつかの検討を要する。
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